H300715ランドサット8の捉えた噴火を再開した西之島
H300715ランドサット8の捉えた西之島
昨年2017年8月を最後に噴火活動の確認されなかった西之島ですが、およそ11か月の眠りから覚め、2018/7/12に噴火の再開が確認されました。
自分も完全にお休みだったのですが、ランドサット8は運よく7/15日中にパスがあり、好天の中噴火の様子も確認できましたのでupします。
まずは気象庁の発表から
下の図はひまわり8による観測で、西之島周辺の平均温度(青)に対して顕著な高温(黄)が検出されたかどうかで、ざっくり火山活動を確認できるのですが、7/12夜から高温域の検出が始まったとの事です。
気象庁地震火山部 火山監視・警報センター 火山活動解説資料(平成 30 年7月 13 日 23 時 00 分発表)
動画でございます。
噴火は火砕丘の横腹からですね。
パンシャープン画像
さてランドサット8のデータはUSGSのEarthExplorerから。
ランドサット8のバンドはB4赤、B3緑、B1青、B8背景で。画像の解像度は10m/px。
久々の活きのいい噴煙。始まったなあ。
B10をサーモグラフィー画像にしバンド8に載せます。
Hot-Coldは精神力で読み取ってください。
溶岩流出た場所は赤に囲まれたエリアですね。
フォールス赤外線画像
バンドはB7赤、B6緑、B4で減算してB8に載せました。画像の解像度は10m/pix。
やはり細かいことまで見えるB7、B6のコンビネーションです。
溶岩流の先端から海岸線までは300m強といったところでしょうか。先端の輝きが鈍っているので、高温の流出口あたりで流化方向でモタモタと迷いが出ているのかもしれません。
B7赤、B6緑、B4で減算の夜間風画像も上げます。
B7に対して減算のB4がずれるので、まとまった形状の部分は高温域と考えてください。
位置合わせ等はチョイとお時間いただきまして、また報告しますね。
火口周辺警報について
しかし西之島の火山活動は、一定の終息を見たという事で6/20には警報のレベルが引き下げられているんですね。
火山活動解説資料(平成30 年6月20 日18 時00 分発表)より
「火山活動に明らかな低下が認められ、噴火が発生する可能性は低くなっていることから、本日(20 日)18 時00 分に火口周辺警報(入山危険)から火口周辺警報(火口周辺危険)に引き下げました。」
下図は長期的に西之島の溶岩流が分厚く乗った範囲、新しく乗った範囲を中心に収縮しておる状況なんですが、今回は参考にならなかったという事でしょうか。
「2017 年12 月と2018 年3 月を比較すると、火砕丘周辺で衛星から遠ざかる方向を示す地殻変動が確認されており、火砕丘周辺が収縮していると考えられます。」
前回の復活劇も警戒範囲を縮小したタイミングで再噴火でしたが、地震計は噴火の予兆を捉えていたらしいので、今回もデータの解析に期待したいところですな。
とりあえず以上で。
コメントはお気楽にどうぞです~
西之島の海底地形を予知・リローデッド
西之島の海底地形予知図を更新
平成噴火の2ndシーズンも終了し、その噴火のあらましが分かる資料と言えば、2017/10/3の火山噴火予知連絡会の資料。ここでちっとは陸上海底の地形図も更新されていくだろうという中ですが、これががなかなか公開されない。
拙速を旨とする当ブログは早速!最新の海底地形図を予知連絡会に先んじて予知したので公開します。1期目の海底地形は予知しつつ何の検証もしていないが、今度検証しますのでご勘弁を~。
青線は国土地理院の海岸線。
あずき色は平成噴火前の海岸線。
黄土色のペイントは1期目で溶岩流が到達した範囲を合算したもの。
黄色のペイントは2期目の溶岩流が新たに到達した範囲。
緑色のペイントは暗礁部。
等深線のうち主計線が赤い部分は2017/6に海保が公開した海底地形図に対して手心を加えた部分で、未測の領域と2期目の噴火による変化を含め、測定後に噴火の影響を受けたと思われる部分です。
平成噴火2期目の影響範囲
2期目噴火で海岸線から海に進出した溶岩流の範囲と、噴火前の海底地形を比較する図はこちら。
特に海底地形の変化領域を赤の曲線で範囲付けしてあります。
西之島の溶岩流形状と海底地形
平成噴火2期目の影響による海底地形の等深線作成は機械的に行いました。手法は下の図を参照。
平成1期目の横断形状から黄色と緑のエリアは南アゴ海岸からサンプリングした地形。青ペイントは最大溶岩流範囲から推定される新規地形を、模式的に作成し等深線に利用した。
海保の海底地形図から読む新しい海底斜面は、良く知られる地上の山の安息角35度にほぼ準じていたが、1:1.4の勾配として多少急にしてある。なので最低でもこれだけの範囲に噴火の影響があると言えそうです。
海底地形図未測のエリアと測量の範囲、時期
不測の事態とは申しませんが、順次測量された中で海底地形図もデータの古いエリアや測定していないエリアが生まれています。下は2017/6版海図の資料索引図から当方で色付け。凡例は下記。
黄色:2015/6-7 海底地形調査(海保)
ピンク:2016/10 海底地形および陸上地形の調査(海保)
水色:2017/1 海底地形調査(海保)
白色:未測
平成噴火1期目終了は2015/11ですから、黄色の範囲と白色の範囲はデータが古いわけで、赤く等深線を染めた範囲については次回再測されるように願いたいす。
今回は以上。
平成も終わろうとしていますが、次回はオールド予知の採点、(祭典ではない)をして反省したいと思います。
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H290816ランドサット8の捉えた夜の西之島
薄い雲のかかった夜の西之島だが
8/13の前回記事では、ほとんど熱活動が無かった西之島ですが、8/16の夜間撮影は雲の影響がある中の撮影となりました。
超高感度で処理すると微弱な輝きが浮かび上がってきましたので紹介します。
火映表示画像を超高感度に
おそらく高層のの雲がかかっていますので、B10では地表の温度の全容を伺えません。
またいつもの火映の表示処理ではB7の輝きを確認することは出来ませんでした。B6には完全に感無しです。
使用バンドはB7を超高感度にして赤~黄。B10のネガポジを青着色。画像の解像度は10m/pix。
熱源画像
使用バンドはB7を超高感度にして赤~黄。画像の解像度は10m/pix。
位置合わせ
活動が薄いので画像を強調して最近の海岸線だけあててみます。夜間画像の位置合わせはGISソフト位置から南西に28m程度移動してあります。昨今の活動低下状況でほぼ動かない熱箇所を利用して調整しました。
ここ最近の活動状況を縦連結してみます。
上から2017/7/24夜、8/13昼、8/16夜。
8/13の日中に微弱にな輝きとして捉えられた場所は、夜間画像においてやはり微弱な熱箇所としてほぼフィットしてきたようですね。
判読です。
超高感度でB7を読み取った中で、2期目の平成噴火で活動していない場所にも輝きを捉えました。高層の雲の影響はあったものの、古い熱源をも捉えられた事からその影響は限定的なものと言えそうです。また噴煙はあったとしても雲の下になったと思われます。
確認できる輝きはかなり高感度の処理しましたので、溶岩膨張亀裂や余熱によるものでしょう。
火口付近には極めて微弱な輝きを確認しましたが、火砕丘には高温の物質は一切載ってないようです。
引き続き活動は落ち着いてしまってますが、気象衛星などでは引き続き噴煙状のものを確認できますので、留意してみていきたいと思います。
判読と記事は以上です。
コメントはお気楽にどうぞです。
H290813ランドサット8の捉えた西之島
西之島の噴火活動に決定的変化が訪れた
びっくりタイトルですが、まず紹介するのは8/2に海保の観測した西之島です。
撮影は火砕丘の西側からですが、南風を受けて大量の噴煙が北方向に流れています。
しかしいやいやこれ、噴煙が茶色過ぎだよね。はた目には水蒸気っぽさが感じられない乾いた印象です。
引用は火山活動解説資料(西之島)の2017/7から。
http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/monthly_v-act_doc/tokyo/17m07/326_17m07.pdf
久々に晴れたと思えば西之島は
久々に好天となった西之島の日中撮影です。しかしながら!火砕丘に熱源は無く、溶岩の流出および火口からの火砕物の噴出等の熱活動は、休息状態に入ったと思われました。
とりあえずパンシャープン画像。
画像のバンドはB4赤、B3緑、B2青50%、B1青50%、背景はB8。画像の解像度は10m/pix。
熱赤外線のサーモグラフィー画像
今回は明瞭な活動位置のピークがない状態です。色合いを引き上げてみると、火砕丘の北東側に温度の高い領域があるのは意外なところです。
使用バンドはB10。画像の解像度は10m/pix。グラデーションは魂で読み取って頂きたい。
上のサーモグラフィー画像にB8をかぶせます。
今回高温の火砕丘の北東側は活動休息時期にも余熱を持っていた場所です。ただ温度自体は低いんですが。
B7熱源画像
いつもと違う処理でB7の熱感知領域を表示してみます。
B7赤、B6緑、B5減算、B8スクリーン50%。画像の解像度は15m/pix。B7、B6、B5は本来の解像度の30m/pixのまま使用しています。
再噴火後の活動と関係ない所まで赤く見えていますので、日光の影響も十分に有ると思ってください。
特筆したいのは火砕丘です。完全にB7の輝きがすっぽりと抜けています。B5の減算処理の影響もあるでしょうが、高温の場所が無いという状態でしょう。
再度パンシャープン
今回は記録を確定させたいのでランドサット8の画像解像度を5m/pixに上げてパンシャープンを作成。使用バンドはB4赤、B3緑、B2青、B8背景。いずれも本来の解像度から再サンプリングで解像度を高めています。
なんかの横顔に見える。まあこの解像度はなかなか良いですね。
位置合わせ
今回の位置合わせは上のパンシャープンで行きます。
画像の位置は変えていませんが解像度を少し上げ、サイズを大きくしました。説明もがっつりいたしましょう。
当ブログの「位置合わせ画像」の範囲は2015/3頃以降一定で、東西に東経140-51-50から140-53-40の間、南北に北緯27-14-00から27-15-50の間です。
上載は錆び色で平成噴火前の旧西之島。緑のペイントで昭和噴火前の暗礁図。青線で国土地理院の2016/12の海岸線を0.5度左回転処理。オレンジは2015/9頃の海岸線に再噴火後の海岸線に2017/5/2と2017/6/29の海保判読から追加し、特に西側溶岩扇状地の最大位置は7/30のWV2画像から読み取ったもの。等深線は海保の2017/6/30海底地形図から読み取り。スケールは図示。
南西溶岩扇状地と西の溶岩扇状地に数値を旗上げましたが、国土地理院の青線に対して増加した面積をm2単位で表示しています。
B7熱源画像乗せ
B7の熱感知領域画像を位置合わせします。最近の溶岩流や溶岩トンネルの位置と、火口の参考位置を乗せました。これから画像の解像度は落としますが、画像の切り取り範囲は一定です。
今までと比べると表面的には冷えてしまっている。火口がこんなだとはなあ。
ALOS-2 だいち2号の撮影した西之島
参考にJAXAの運用するだいち2号の撮影した、2017/8/4のサムネイル画像を再サンプリング処理して、位置合わせに乗せました。このサムネイル画像原本の著作権はJAXAにあります。
だいち2号のデータは下から取得しました。
このサムネイルは100m/pixの低解像度で提供されているのですが、本来は3m/pixを誇る高解像度で雨にも負けず風にも負けぬ、合成開口レーダーによる画像です。 レーダーは東方面からの照射で、画像は砂利浜が暗く岩場は明るく表示される傾向にあります。ステルス性の低い船舶などが近傍にいるとばっちり反応したりします。
これを見ると、もう少し西側溶岩扇状地は北方向に進延していると思ったんだが、多少の進延に留まったようです。
判読です
熱活動はほぼありませんが、高感度に読み取ると最も明るい光点は西側溶岩流の先端部分にあり、活動というよりは崩落した溶岩流先端の余熱と思われます。再噴火後の溶岩流の範囲には薄い光点が点在してあり、これらは溶岩膨張亀裂の存在等と予想します。
火口の熱活動が無く、火口周辺が硫黄色に染まる現象も見えません。8/2の海保画像では茶色掛かった大量の噴煙が確認できましたが、この撮影では雲と同色の噴煙以外に活動が見当たりません。
火砕丘全体は北東部分を除き周辺の溶岩台地より温度は低く、火砕物の吹き出しと堆積を伴う活動が存在していないことを示しています。
ランドサットで見る火山活動は、停止した部位はすぐに冷えきって見える傾向にありますが、印象として今回は5日程度以上は流出活動が止まっていると思われます。
海岸線は台風5号の影響を懸念しましたが、溶岩扇状地の浸食は限定的だったようです。堆積現象は西之島の南東部分で浜の成長が若干見られますが、それ以外の場所では国土地理院の海岸線より内側に白い波浪が入り込んでいる箇所が多いようです。
考察
再噴火から3カ月と20日程度ですが、このまま噴火活動を停止するかというとそうとも思えないのが西之島の、粘り気の少ない溶岩による粘り強い火山活動です。
例えば1期目は2014/8頃に活動の停滞があり、9月に大流出がおきました。
今回の活動の停滞によって溶岩トンネルは流動性のある部分が狭窄するでしょうから、再度流出がありレートが上がると、古いトンネルには入りきらずに新展開となると思います。
これがどこに起きてどこに流れるのか、あるいはこのまま活動を長期に休止するのか、全く読めなくなりました。
特に活動を停止したばかりの西之島は、爆発的噴火の恐れが高まったと自分は考えます。しばらくは活動中より危険だと思っていて、鳥はともかく人間としては気象庁の警戒範囲を厳守すべきで、安易に近寄れないと思って正解でしょう。
この後は干渉波による地形の変化や地震活動の分析などを注意して見守ることになるかと思います。
今夜はランドサット8の夜間撮影でもあり、うまく晴れ間に入れば日光を気にせずゴリゴリ解析したいと思いますね。
記事は以上です。コメントはお気楽にどうぞ!