閣下が不用意に打たれたblog

噴火で変遷する西之島の火口や海岸線、暗礁などの海底地形等の図を衛星画像や各種資料から作成してます

H270601 ランドサットの捉えた夜の西之島

深発地震から明けて

5/30に小笠原諸島西方沖、というか西之島北方沖地震がM8.1という規模であって、しかしながら幸い大きな被害は近隣に無かったわけですが、場所が場所だけにこれからの火山活動どころか西之島は果たして無事なのか?という疑問もありました。

そこは海保が地震明けの5/31に西之島へ飛んで、大きな変化は無かったとの報告でしたから先ずは無事で良かったというところ。 

 さて気象庁の週間火山概況22号から、海保の観測した5/26の西之島の斜め写真を紹介します。地震の前の状況は既知の通り南東方向へ、溶岩扇状地の拡大している事が分かります。

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ここで画像では「水蒸気」と書いてありますが、いや勿論水蒸気もあるはずだが、白く写っているので「湯気」と呼んだ方が良い気がする。いや「湯煙」でも良いか、温泉情緒があって。

 

ところで上記画像は下のサイトでノイズを処理してみました。

waifu2x

ホントはアニメ風の画像処理用ですが、文字が明瞭になるなど優れモノです。

そしてランドサットウィークの幕開けに

さて地震後の西之島画像としては、6/1段階このランドサット8の撮影が一番乗りでしょう。天候も画像も良いですよ!地震の影響を確認するランドサットウィーク開始です。

夜間状況を明らかにする熱赤外画像はネガポジでセピア変換。中央部左の方に赤い点としてB7を配置。こちらが活動中の西之島です。

バンドはB10ネガポジでセピア、B7赤。画像解像度は120m/px

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この筋状のモノは雲に見えるのですが、どうも違う気もする。いずれにせよこの繊細な雰囲気が良い。ハマったです。

 

お次は火映を確認して噴煙の方向を確認。

B10ネガポジで青、B7高感度で赤、B6緑。画像解像度は20m/px

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僅かに見える噴煙の火映からは、撮影時は西風の様です。赤のB7は相当高感度なので割り引いて見てくださいね。

というか割り引いた画像をUPしますか。

下はB10ネガポジで青、B7赤、B5白。画像解像度は10m/px

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溶岩扇状地はB5が明瞭だという事で、相当熱い状況の様です。東側の方が幾分高温かもしれない。

赤色立体図で位置合わせ

さておなじみの赤地図合わせ。

バンドはB7赤、B6緑、B5白。スケールは図示。

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赤色立体図は千葉先生の発明したアジア航測の特許技術です

ポイントは陸上部分。溶岩流はほぼトンネル化されたようですね。

判読です

溶岩扇状地ははっきりと大きくなりました。新しい溶岩扇状地の面積は0.14km2と算定。今回はB5の輝きが溶岩扇状地で確認できたという事で、溶岩流の動きは活発だと言えそう。東顎浜こと赤池浜はこれでほとんど溶岩流に囲われた。

最近火口縁が硫黄色になったりしてた火砕丘の第7火口は、比較して今まで程には目立たない。高感度のB7でも火砕丘の裾に高温の噴石が堆積していないし、ここは落ち着いてきているのだろうか。

そして海底地形を見ると、溶岩扇状地の東端は自分のコンタの中では水深50mに触ろうとしている。高温の溶岩流は深海に向かいやすい気もするし、またこの場所は海底地すべりの実績があるんじゃないかと思われる場所。ううーむ、これは危険だ。ここが成長するとヤバいと思っているんだが・・。

 

なんにせよあれだけの地震の後ですから、無事で良かったです。

此度のような深発の地震は余震が少ないらしいですが、そもそもメカニズムがどうなっているやら良くわからない。西之島の噴火活動は一つの節目を迎えたと思って注視していきたいです。

 

さて記事はこの辺までに。

コメントはお気軽にどうぞ。

LandBrowserのクレジット表示 The source data were downloaded from AIST‘s LandBrowser, (http://landbrowser.geogrid.org/landbrowser/index.html/). Landsat 8 data courtesy of the U.S. Geological Survey.