閣下が不用意に打たれたblog

噴火で変遷する西之島の火口や海岸線、暗礁などの海底地形等の図を衛星画像や各種資料から作成してます

H270824 ランドサット8の捉えた西之島

その者蒼き画像を纏いて金色の河に降り立つべし

待ちに待った西之島特番、とても面白かった。様々な感動があって、何よりも参加している方々の楽しんでいる姿が伝わってくる番組でした。

自分も西之島の噴火について、存分に楽しみたいと思っています。大地が私たちに用意してくれた、まさに千載一遇のイベントですからね。

さて下の画像はそのNHKスペシャルから。

ご覧になった方はご存じでしょうが、こちらは西之島の夜間画像、西之島を覆う怒りに我を忘れた王蟲の群れしずしずと流れる溶岩流です。

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この色合いはどちらかというと「金色の野」の方ですか。いずれにせよ降り立つことは不可能という事ですね。

ニシノシマにカルマン渦の発生か?

台風16号の接近が東に逸れたために、今回の日中撮影は非常に天候に恵まれました。

ただ画像処理の中では島の周囲の白い波浪帯が広いので、波は高いのだろうと思います。そして印象深いのは変色水の模様ですね。西之島から広い範囲にわたって変色水が流れているので、縦長の画像を用意してみました。

2015/8/24ランドサット8日中撮影の画像。一応トゥルーカラーの処理で、B4赤、B3緑、B2青。画像の解像度は60m/px。

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これは西之島の山体にぶつかった北から南に向かう海流が、島を迂回する際に変色水を巻き込んで、うっすらとカルマン渦を発生させているのではないかと思います。

カルマン渦は下記の様なものです。

良い画像を得ると欲が出ると

今回は色々取り組んでみました。パンクロマチックのB8画像を高感度と低感度の2枚にしてから再度比較暗で合成したB8を利用したパンシャープン画像です。

合成したB8を背景にB4赤、B3緑、B2青。画像の解像度は10m/px。

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今回は波が高かった影響で、波打ち際の白いラインが広がりすぎて位置合わせに影響が出ていたんで、工夫というよりは足掻いてみたわけです。結果的に噴煙が暗くなって視覚的には楽になりました。

ですのでパンシャープンと言いましたが色合いは少し変な感じになっていいます。

溶岩流の検討に続きますよ。

溶岩流スペシャル

さて久々の溶岩流スペシャルフォールスカラー。今回採用した目玉はB11の青。ナイトショットでB10と共に利用していますが、夜間と同じ処理を下地にして、合成B8を背景としました。

バンドの処理はB7赤、B6緑、B5減算、B11青、合成B8を背景。画像の解像度は10m/px。

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このB11を下地にすることで、熱のある場所の赤-黄色領域を白くすることなく、何となく自然な感じに見えてしまうというトリック。B8以外はすべて赤外線なので、赤外パンシャープン画像と呼ぼうじゃぁないか。この単語ググっても引っかからないぞ!

 

ちなみに下地はこんな画像。

バンドの処理はB7赤、B6緑、B5減算、B11青。画像の解像度は10m/px。

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トゥルーカラー画像どころではない、完全にナイトショット画像に見える。こんなものが下地になり得るんだなあ。

位置合わせです

上記の赤外パンシャープン?画像を下地に、6/18海保の海岸線と等深線、、そして火口位置を載せました。

バンドの処理はB11をネガポジで青、B7赤、B6緑、B11青、合成B8を背景。スケールは100m/ゼブラで図示。海岸線は6/18海保から。等深線、暗礁図そして火口位置はオリジナルです

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旧島南台地のカド、南岬の付近に浜のはずなのにでっぱりが見えて気になっていたのですが、暗礁がバッチリ乗っています。というか下地に入っているんですね。

既存の暗礁が沈床のように護岸の役を果たしているのかもしれない。

夜間風画像

ここでまたいつもと違う事をやった。溶岩流の熱画像はB6に緑を当てていたんですが、日中は雲や噴煙がどうしても緑色になってしまう傾向にありました。欲をかいて光らせているのがいけないのだが、産総研の「高温検知システム」にヒントを得て、今回はB7の低感度をB6の代替に利用してみた。

バンドの処理はB7高感度で赤、B7低感度で緑、B5減算。海岸線は6/18海保から。等深線、暗礁図そして火口位置はオリジナルです。

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緑が暴れないので、より夜間っぽい画像に仕上がったかと。

産総研の「高温検知システム」は下記リンクから。

http://landbrowser.geogrid.org/hotarea/

Landsat-8直接受信・即時公開サービス

このシステムは天津の爆発による残熱も捉えているようですよ。

赤色立体図載せ

上記の夜間っぽい画を赤色立体図に合わせます。

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赤色立体図は千葉先生の発明したアジア航測の特許技術です

おっと東アゴ浜のあったあたり、旧海岸線からはみ出たやつが現れたな・・。

判読です

天候に恵まれて、熱活動はほぼ余すことなく捉えた今回の撮影ですが、8/20の夜間から大きくは変化なし、熱の輝きも明瞭でしっかりとした熱活動があると言えそうです。

東耳当てに向かう本流はこの84時間で133m前進しました。これはあまり速い流れではありませんが、2週間ほどで海岸に至るペースです。

北に向かう溶岩流も活動していますが、本流の様な形状ではなく少量と言えそうです。

東耳当ての南側は一番の活動領域になっています。海岸線も6/18の湾入部からは200m以上埋め立てました。

喉笛の溶岩扇状地付近は、相変わらず散発の溶岩流が旧海岸線付近で熱を見せています。

南アゴ付近の溶岩流も量的には多くは無いでしょうが、経路も輝いていて、単線ながらなかなかどうして健在です。頑張ってもらいましょう。

 

欲を描いているうちに8/27の夜間の撮影がされてしまったようだ。さてどうかな。

記事は以上です。

コメントはお気軽にどうぞ。

 

LandBrowserのクレジット表示 The source data were downloaded from AIST‘s LandBrowser, (http://landbrowser.geogrid.org/landbrowser/index.html/). Landsat 8 data courtesy of the U.S. Geological Survey.