閣下が不用意に打たれたblog

噴火で変遷する西之島の火口や海岸線、暗礁などの海底地形等の図を衛星画像や各種資料から作成してます

H270831 EO-1の捉えた夜の西之島

EO-1が恒例のゲリラ撮影を夜襲にて敢行

ランドサット8と同程度の分解能を持つEO-1衛星。ですがデータベースを見ても、西之島の撮影時期に周期性を見出すことが難しい。

さらには夜間撮影となると、ん、今年になって初めてじゃないかな。というか、中身の入った画像では去年の8/19以来なので、1年以上経っています。

ランドサット8も9/5夜にはきれいな画像を提供してくれていますが、先にそんな貴重で絶滅危惧的なEO-1の夜間画像を紹介します。

EO-1の夜間画像処理では

EO-1は撮影アングルがランドサットと違うので、どのくらい傾いているかも知っておきたいところ。

MTLファイルでは、SENSOR_LOOK_ANGLE = 17.771

傾き18度弱ですな。だが・・、夜の機体の傾きはどっち向きになるのか?

分らないまま進むぜ、次は位置合わせの元データだ。

 

L1データのGeotiff形式の画像には位置情報が付属するのだが、そもそもこの位置情報も厳密ではない。

ランドサットと合わせるとEO-1の画像がずれたりする傾向にあるのはリサーチ済みだが、EO-1同士なら相性も良いはずであろう。そこで簡易位置合わせを実施。

昼間画像はEO-1の6/28撮影の西之島からB1をモノクロ背景、8/31撮影のB10を赤、B9を緑。表示の画像解像度は10m/px。B10とB9は元の分解能の30m/px表示になっています。

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ベイィッッ ベーェッ!(英訳:Baby!)なってこった~。何百メートルもずれてるじゃないか~い。

だがまあいい、そんなこともある。そこを腕力で位置合わせするのがそもそも、このブログである。

 高感度画像処理

さて処理画像を紹介。高感度の夜間画像です。

EO-1ではいつも青い背景で雲を表示している、B10やB11にあたる熱赤外線センサーはないのですが、近~中間長赤外線は充実しています。今回はB10からB9、B8、B7、B6までの5バンドで熱活動と思しき輝きを確認出来ました。

画像のバンド処理はB10高感度で赤、B9緑、B7白。画像解像度は10m/px。

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これは少し高感度にふってあるわけですが、画像の火映的かすれを見ると北北西の風が吹いているのかなあ、と思います。 

位置合わせ画像

おなじみの海岸線と等深線に載せます。感度を落としてB10赤、B9緑、B7白。スケールは100m/ゼブラで図示。

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 8/27のLANDSAT8画像とこの時点の違いは殆んどないようです。

赤色立体図合わせ

さて新しくなった西之島の赤色立体図が来ました。ベースは国土地理院の7/28撮影の西之島から、2.5mDEMを用いて処理された画像とのことです。

 新しい赤色立体図は国土地理院か、以下のアジア航測から手に入れると良いと思います。アジア航測の画像は1.0mDEMの形に補完して処理されたとのことで、拡大してもすごいんです状態ですね。

製品情報|アジア航測|空間情報コンサルタント

位置合わせ画像です。

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 赤色立体図は千葉先生の発明したアジア航測の特許技術です

赤色立体図は当方の北方向に合わせて0.88度回転させました。前回は0.68度でしたから、いつもより多く回しておりま~す。

 判読です

8/31の画像に近似と考えて位置合わせをすると、撮影アングルの傾きは東方向からのもののようです。

スコリア丘である丈予岳は国土地理院の7/28の観測からは標高150m。EO-1の撮影アングルの17.77度を考慮すると、中央火口内の光点のずれから熱源の標高をおおよそ計算できます。

想定標高=(35m(ずれ量))×tan(90-17.77)=109.2m

火口内が40mくらい低くなっていると計算できますが、元画像の分解能が30mピッチなので、誤差はデカいと思いますよ。

最大熱量の活発な流出口は火口真東の場所で、東頬方面に継続して向かっています。

 

今回はランドサット8の画像も後に控えているので、取り急ぎ記事は以上です。

コメントはお気楽にどうぞ。

LandBrowserのクレジット表示 The source data were downloaded from AIST‘s LandBrowser, (http://landbrowser.geogrid.org/landbrowser/index.html/). Landsat 8 data courtesy of the U.S. Geological Survey.