閣下が不用意に打たれたblog

噴火で変遷する西之島の火口や海岸線、暗礁などの海底地形等の図を衛星画像や各種資料から作成してます

噴火を続ける太平洋上の西之島

小火砕丘が入れ子状に形成

先ずは昨今の西之島の紹介。今回のニュースは第7火口内に小火砕丘の形成という事で、上の9/16の状況と、下の8/19の状況で比較画像が紹介されています。どちらも海保の海域火山データベースから。

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お鉢の中に赤ちゃんの様な火砕丘が生まれていますね~。

ここで紹介されている第7火口の2つの穴ですが、H27/7/13の日本テレビの撮影で確認されたものです。

今までこの穴の形成に興味を持って経過を見てきましたが、自分は溶岩流のホルニトに向かう横方向への流れに、山体のカサカサしたスコリアが漏斗状に吸い込まれた陥没だと今では考えています。 根拠は以下の様なものです。

・もし爆発によって火砕物が吹き飛んだ場合は、火口内部の斜面がもう少し緩やかであろう事。

・これだけの体積のスコリアが飛び散れば、外形にも何らかの変化があったはずだという事。

 このイベントの正体は結論が出ないかもしれませんが、この火口形状の形成自体が今までにない新展開であったともいえますね。

「噴火を続ける太平洋上の西之島」に行ってきましたよ

またも誤解を招く中見出しですが、行ってきたのは海洋政策研究所の主催する「第124回海洋フォーラム」です。

講師は海上保安庁海洋情報部の春日部長で、非常に分かり易い解説でした。

会場資料には主に海保のマークが入っていますので、海保で公開されている資料と同様に考えて、でも遠慮して講演資料から一部を抜粋して紹介します。

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西之島の昭和噴火は42年前のことで、下は海底噴火から最後旧島に繋がり、しの字のなる状況です。

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西之島の昭和噴火1973/9/14の写真は初めて見たかも。

それがあっという間に浸食されて、

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月浦湾は池になり、全体がおにぎり型になっていきます。

変化図に続きますよ。

その昭和噴火の42年前の火口の位置は、2013/11/20からの最近の火口の位置に一致するわけですね。

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西之島新島という名前は、自分にとっては下の時期のモノが一番印象深いものです。

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おにぎり型になるまでの変化の大きさに、絶海の孤島が置かれている環境が非常に厳しいものだと思わされます。

以前このデータをラスベクして桃図タンで検証しています。

下は最近の海底地形調査の図ですが、点線に合わせて断面図が紹介されています。

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東の方向に溶岩の体積を投入して今の地形になっていることが分かります。

フクトクオカノバの紹介

ここからは過去3回も島が生まれては消えを繰り返している、南硫黄島近傍の福徳岡ノ場の紹介です。

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3回ですからね、フクトクオカノバフクトクオカノバフクトクオカノバ。

早口では何故かうまく言えませぬ。フクトクオカノカになってしまう~。

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そのフクトクオカノバの昭洋とマンボウⅡによる最近の測量成果なんですが、島があったのにサッサと水深30m位まで洗われてしまってるんですね。すると

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変色水の発生に伴うのか、火口の形成が見つかったという訳です。この成果は海域火山データベースの載っているんで下に転用しますが、

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だれがこのプリンをつまみ食いしたのか、と思っていましたが火山活動に伴うモノだったんですね~。西之島の海底地形調査も、このようなクオリティー、そしてこのように美味しそうな色合いで出てくると期待したいです。

海域火山データベースは以下のリンクです。

海域火山データベース海上保安庁海洋情報部

 

自然に島が出来て、長期にわたって残るという事はこの様に稀有で、珍しいことです。そし自然に島が出来たという事は重要な事で、講演の後半の方は海保の仕事に一つである海洋権益の確保、領海とEEZの拡大の根拠と、その基点としての西之島の状況も紹介されていました。

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西方へのEEZ拡大の皮算用は話題になっていますが、暫定値において領海の拡大も相当な面積になるようです。この辺の確定作業は、さすがに噴火が収まってからという説明でした。

 

ご紹介するのは以上の内容です。しかし、こういう講演会で最後に外せない超重要画像はもちろんこれでしょう。

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海保を代表する締めですな。

 

最後には質疑応答もあって、領海の起点に護岸工事の予定は?とか上陸できるロボットは?とかあったんですが、その中で海底地形図は国土地理院のように、DEMデータは公開されないのか?という質問がありました。

回答では海底地形図のデータなどは諸事情もあって一般に無制限に公開とはなっていないが、研究者とは共有できるようにしているとの事でした。

うーん、そうか研究者。自分も日々探究しているつもりだが研究者と名乗れるかというと、はてさて?

 

今回の海洋フォーラムの件は以前紹介しましたが、情報通の「ちまこ通信」のちまこさんの紹介で知り、ちょうど仕事にも風穴が開いて参加出来た次第。

貴重な情報に接することが出来て、情報頂けたちまこさんには改めて感謝です。ちまこさんどうもありがとう!

その情報収集処理お料理能力から、ちまこさんはお料理上手な峰不二子のイメージになっているワケなんだが、そうなるとあれか、感謝のしるしに「ルパンダイブ」を実施しないといかんな!お約束だし。

さて行くか。成功するイメージが何も浮かばないが。それもお約束だし。

 

今回の記事は以上です。

ここで一発、ご清聴ありがとうございました。

コメントはお気楽にどうぞ。

LandBrowserのクレジット表示 The source data were downloaded from AIST‘s LandBrowser, (http://landbrowser.geogrid.org/landbrowser/index.html/). Landsat 8 data courtesy of the U.S. Geological Survey.