H290610ランドサット8の捉えた西之島
火砕丘南腹から溶岩を噴出させた西之島
6/6の観測で西側に流下する新展開を迎えた西之島の活動。
6/10にはどのような経過を辿っているか確認する流れだと思われたが、そうは西之島屋が卸さず、火砕丘の南山腹から新規流出と相成った。
そもそもしばらく流下方向は安定するだろう、などと自分が不用意に言った直後から怒涛の新展開コンボを繰り出してきた西之島。ええいそれまでの安定っぷりは何だったのか。読めないぜ。
2017/6/10ランドサット8の日中画像
ランドサット8のデータはUSGSのEarthExplorerからです。
ダウンロードに4時間もかかった。
パンシャープン画像
パンシャープン画像のバンドはB1青、B2青、B3緑、B4赤、背景はB8。画像の解像度は10m/pix。
自分の処理はイマイチだけども、撮影自体は綺麗に撮れたものです。
湯気が出ている海岸線は西側の溶岩扇状地先端付近のみですね。
サーモグラフィー
熱量を確認するバンドはB10。画像の解像度は10m/pix。
火口の西側にも伸びていますが、南側にも熱があることが見えます。
フォールス赤外
溶岩流を確認する画像です。
バンドはB6緑、B7赤、B5青、B8で比較明としています。画像の解像度は10m/pix。
南側からもキタ!ですね。
夜間風画像
減算して夜間風の画像にします
バンドはB7赤、B6緑、B5青、B4減算。画像の解像度は10m/pix。
中央の火口に噴煙が出たばかりのようで、噴煙の中心が減算されて黒くなっています。 B4で輝いている湯気や高温の噴煙は引き算に回ってしまうので。
位置合わせ画像
海底地形図と、海岸線は東半分が平成27年9月ごろ、拡大部分は5/2の海保の海岸線を乗せます。画像のスケールは図示しそびれましたが追加しました。
赤色立体図乗せ
夜間風画像を千葉先生の赤色立体図に乗せます。画像のスケールは図示です。
赤色立体図はアジア航測の千葉先生のサイトから。国土地理院が2015年12月9日に測量した2.5mDEMのものです。
南側の火口位置が気になっていたのですが、これではっきりしました。
判読です
風向きもよく熱活動はほぼ網羅して撮影できた日中の撮影。ランドサット8の西之島観測においては代表的な写真の候補になると思います。
ここで読める西側の溶岩流は中段でカクリとカーブし、小夜浜を分断した溶岩扇状地の南湾入部を浜とともに埋めました。これで残る小夜浜はわずかに残る旧島北西部にある100m程度の場所のみとなりました。
火砕丘付近では今まで同様、第7火口とその北側の溶岩流出口は健在。特に北側流出口は最も高温だったと思われます。
南に開口した溶岩流出口は出口付近こそ熱いものの、平坦地では伸びほどに高温ではないようです。レートが大きくない状況かと。
火砕丘付近の熱源部分を拡大した絵を下に用意していました。2000年代の日付と火口名を表示しています。
今回開口した南側の溶岩流出口は、2015/11に出た溶岩流出位置に当たります。ここは遡ると噴火当初南火口と言われていた場所であり、平成噴火を始めた場所でもあります。
下は2015年にちょろっと出た過去記事です
さて今回の記事はこの辺に。コメントは気楽にどうぞです。