閣下が不用意に打たれたblog

噴火で変遷する西之島の火口や海岸線、暗礁などの海底地形等の図を衛星画像や各種資料から作成してます

H290728ランドサット8の捉えた西之島

海から西之島を撮影

最近は海から撮影された素晴らしい画像も沢山紹介されてきました。少しずつ紹介したいと思いますが、今回は2017/7/21の明け方に佐伯克人さんの撮影された美しい西之島です。

データはこちらから。

佐伯克仁 | Facebook

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西側の溶岩扇状地から湯気の立つ様が写っています。中央の火口は南南西に向かう傾斜となっているようですね。

 

今回は雲隠しに見舞われた西之島

さて前回の日中撮影は大事な熱活動を噴煙で隠していましたが、今回は雲、スポットで来ましたよ~熱活動域は外したモノの雲の影に入れてくれました。残念。

データはUSGSのEarthExplorerからです。

https://earthexplorer.usgs.gov/

パンシャープン画像

台風5号が東北東にあって迷走している状況の中、うねりが浜に押し寄せて海岸線は広い範囲で白くなっています。

バンドはB1青、B3緑、B4赤、背景はB8。画像の解像度は10m/pix。

 

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 フォールス赤外線画像

バンドはB7赤、B6緑、B5青、B8の低感度画像で減算して海岸線に特徴を表示しています。画像の解像度は10m/pix。

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夜間風溶岩流画像

バンドはB7赤、B6緑、B4減算。画像の解像度は10m/pix。

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サーモグラフィー画像

バンドはB10。画像の解像度は10m/pix。グラデーションは根性で読み取ってください。

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位置合わせです

画像はパンシャープン画像。水深は海保の海底地形図から、海岸線は国土地理院の12/20測量のデータから。赤いのは平成噴火前の海岸線です。

 

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火口に噴煙が留まっていないため、すり鉢が見えているようです。

溶岩扇状地は若干大きくなっていますが、6/26海岸線からの変化量としては小さいですねー。

今回は海岸線の内側まで入り込む波浪が気になりますが、低感度の画像ではほぼ海岸線の通りの地形が浮かび上がりますので、大きく変化しているわけではありません。

夜間風位置合わせ

夜間風に仕立てた溶岩流画像を位置合わせさせます。

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判読です。

この画像からは火口はすり鉢の形状も見え、火口の直径は80m程度と読みました。

また西側溶岩扇状地は日中画像においても先端部分が水深50mの位置に掛かりました。この位置での拡大は斜面形状からも遅くなると思われます。

ところで溶岩流がトンネル化されたころから最近にかけて、面積の拡大が遅い気がしていますが、ざっくりレートの計算をします。

6/26に比べて面積の増大は40000m2、埋めた場所の平均水深が35m、そこに乗った平均標高を10mとします。経過32日で1日当たりの平均流出溶岩量は5.6万m3/日。全量がこの場所に来ていると思いますので、これが噴出率になります。

20万m3/日程度あった5月と比べるとレートは落ちていると言えそうです。

一度レートが落ちると、溶岩トンネルは狭くなると思われます。今後噴出率の増量変化に溶岩トンネルが耐えられず新展開、というのは十分に考えられますので、留意して見たいところ。

 

記事は以上です。

 

LandBrowserのクレジット表示 The source data were downloaded from AIST‘s LandBrowser, (http://landbrowser.geogrid.org/landbrowser/index.html/). Landsat 8 data courtesy of the U.S. Geological Survey.