閣下が不用意に打たれたblog

噴火で変遷する西之島の火口や海岸線、暗礁などの海底地形等の図を衛星画像や各種資料から作成してます

R020131だいち2号の捉えた西之島

 

200131に撮影された、だいち2号のSAR解析画像が国土地理院からUPされました。

合成開口レーダーで悪天候でも地形を把握できる「だいち2号」。画像情報が白黒テレビ並みなのがじれったいですが、安定感は抜群ですな。

www.gsi.go.jp

単純画像のGIFアニメも更新されていますよ。f:id:gravireyossy:20200201201947g:plain

 

このGIF画像の縦横比は縦長になってます。理由は分からない。

位置合わせする際はPDFデータの画像を参照しましょう。

 

「だいち2号」のレーダー解析では、地形の変化がないのなら毎回同じデータが得られるはず、という特徴から、様々な方法で地表面の違いを把握する画像処理が紹介されています。 

有名なところでは下に紹介する干渉波処理でしょうか。

2回の観測データの波長を重ねることで得られる波長のずれを色彩化するもので、波長の長さ分で色合いは回帰します。おそらく。(;^_^A

上記地理院の資料から貼り付けます。

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ここでは色合いに統一性が無くザラザラした模様になった範囲が変化があった場所、という事です。

しかしそこが見たい知りたいわけですが・・まるでモザイク処理だ。またか。

ええい!俺の見たい画像はなんでいつもモザイク処理されているんだ~っ!

ヌガー!!

 

フーウ、落ち着け俺。こんな時は昭和の深夜番組「砂の嵐」を見るんだ。

そういえば地上波デジタルになってからは見た事が無いが・・・

当方処理画像の紹介

紹介するのは上記サイトのPDFから得たものです。処理の前にコントラストを高めました。

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200131だいち2号:国土地理院

この白黒画像ですが、高温の溶岩は黒く筋のように見える事があり、影なのか高温なのか毎度気になるものです。

砂の嵐

0117の画像に0131の画像を重ねて「微粒とりだし」の処理をしました。すると、「差の絶対値」とは違った差分が得られます。

変化の無かった場所はザラザラした砂の嵐の様に見え、しかし地形に変化のあった場所は有意な形状を見せてくれます。0131の画像を赤くしてうっすらと重ねたので紹介します。

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200117-200131だいち2号:国土地理院

この処理を読めば撮影間隔の14日間で海上に増えた面積が白く確認できます。

地上において明らかに変わった部分はなんとなく立体的に見える。

溶岩流もそうですが、火砕丘斜面の法尻の位置が三日月形に見えていて、法尻位置が変化したと読めます。

 

ただこの処理の注意点としては、立体に見える度合いが標高の変化を表しているわけでは無い事です。

簡単に言えば地表の勾配に変化があった場所が強調されている感じでしょうか。そのようにご承知ください。

gif解説

処理した画像から変化のあった範囲を七して、gifアニメにしてみました。画像は

200131だいち

200131だいち+溶岩流補助線

200131~200117変化図+溶岩流補助線

200126ランドサット8+溶岩流補助線

以上のループです。

f:id:gravireyossy:20200202134449g:plain

 

火砕丘から北東方面に伸びる一筋の道。同じ場所の200117の海保の画像に想定外に高さのある尾根筋を確認していました。これは溶岩堤防化したものだと考えてます。

溶岩堤防の上部で決壊が起こり、東側などに流れたのが今回の大きな特徴でしょう。

1/26のランドサットは薄曇りでしたが、把握できた活動は限定的だったのかなと思います。

判読です

さてこの変化を測ってみると、法尻の東方向への伸延は26~28m。安息角を使用してそのまま山頂の高度に使用した場合は17m程度高くなりますね。法尻の標高に依存するので単純には行きませんが、少なくとも標高を得るためのポテンシャルは高まりました。

今回面積はあまり増えていませんが、 噴火初期と比べて、スコリア丘は著しく大きくなっています。溶岩は地上部の重ね塗り、特に火砕丘の変化に大量に使用されている状態が続いていると見ます。

 

特に私見ですが西之島の場合、海中に溶岩流の先端が到達すると、出口が冷却により詰った溶岩流は溶岩トンネル部の上方を押し出して地表に膨張亀裂を作り、非常に危険なクレバス地形を生み出すと考えてます。

今は新しく高温の溶岩による平坦化が進んでいるようなので、将来鳥が進出する事を考慮すれば喜ばしい事かと。

 

記事は以上です

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LandBrowserのクレジット表示 The source data were downloaded from AIST‘s LandBrowser, (http://landbrowser.geogrid.org/landbrowser/index.html/). Landsat 8 data courtesy of the U.S. Geological Survey.