閣下が不用意に打たれたblog

噴火で変遷する西之島の火口や海岸線、暗礁などの海底地形等の図を衛星画像や各種資料から作成してます

R011209 1年5か月ぶりに再噴火した西之島

 

赤色立体地図の最新版をいただきました!

ビッグニュースなので大見出しにしました。

赤色立体地図は今まで、発明者であるアジア航測の千葉達朗先生が各所でUPしていたものを使わせて頂いていましたが、今回本ブログは溶岩流と火口位置の解析のために~という理由で、なんと千葉先生に直接「最新版が欲しいんです」とお願いいたしました!無謀っ!!っなお願いでしたが先生には快諾いただきまして、あっという間に頂戴いたしましたのでUPいたします。

千葉先生有難うございます!

ということで、国土地理院の最新版DEM(181201)による赤色立体地図、出来立てほやほやのアツアツアチチであります。きっと本邦初公開?

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本図の画像スケールは2.5m/px。赤色立体図は千葉先生の発明したアジア航測の特許技術です(重要)

 

西之島の噴火再開について

2019年12月4日、ひまわり8号西之島から熱源を感知し、このデータからは噴火活動の活発さを占う輝度が非常に高く、噴火の再開が予見されてきました。

12月6日の段階で溶岩流の海への到達が確認されるなど、すでに本格的な活動となっています。

 

ランドサット8の20191209撮影データから、西之島の噴火活動を処理しました。
当日は薄い雲が上空にあり島の輪郭は不明ながら、雲を透過して熱活動を確認できました。画像は
・B7、B7弱、B6を、赤緑青と処理
・これをB4で減算して雲を除去
・最後の画像は別な日20190702に撮影したB8を下地にして載せています。

 連続して貼りますよ。

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赤色立体地図載せで判読

頂いた赤色立体地図は、判読に利用した補助線と共に載せ軽く判読です。

火口は完全に熱源となっており、東側の溶岩流出口も想定位置どおりの輝きを得ています。

火口を含む判読線は国土地理院の出した地形変化のデータから、明らかに大きく変位した範囲、すなわち溶岩流と思われる範囲です。

海に進入したと思われる場所には光点が確認できませんでしたが、東側の端部付近、そして火口から北西に向かう光源の位置を確認しました。

 

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ここはオリジナルの判読補助線のアップ画像です。

右上方面の光点は明らかに熱源のもので、おそらく溶岩流の先端部です。

火口北西方面の光筋は悩ましい。

噴煙は南南西方面で、雲は高度がありそうです。

すると噴煙への火映ではなさそうなので、何らかの高温熱源があると思いますよ。

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アップ画像に赤色立体地図を再度重ねますが、溶岩流範囲は今回確認できた赤熱範囲と整合性がとれました。

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ということで画像からの判読は以上ですが、公式が東方面への溶岩流しか言及していない中、「北西方面にも熱源アリ」と無謀ながら申しておきますぞ。

今回はこの辺で。

コメントはお気楽にどうぞ!


 

H300715ランドサット8の捉えた噴火を再開した西之島

H300715ランドサット8の捉えた西之島

昨年2017年8月を最後に噴火活動の確認されなかった西之島ですが、およそ11か月の眠りから覚め、2018/7/12に噴火の再開が確認されました。

自分も完全にお休みだったのですが、ランドサット8は運よく7/15日中にパスがあり、好天の中噴火の様子も確認できましたのでupします。

 

まずは気象庁の発表から

下の図はひまわり8による観測で、西之島周辺の平均温度(青)に対して顕著な高温(黄)が検出されたかどうかで、ざっくり火山活動を確認できるのですが、7/12夜から高温域の検出が始まったとの事です。

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気象庁地震火山部 火山監視・警報センター 火山活動解説資料(平成 30 年7月 13 日 23 時 00 分発表)

http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/monthly_v-act_doc/tokyo/18m07/201807132300_326.pdf

 

動画でございます。

www.youtube.com

 

噴火は火砕丘の横腹からですね。

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パンシャープン画像

さてランドサット8のデータはUSGSのEarthExplorerから。

EarthExplorer - Home

ランドサット8のバンドはB4赤、B3緑、B1青、B8背景で。画像の解像度は10m/px。

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久々の活きのいい噴煙。始まったなあ。

 

B10をサーモグラフィー画像にしバンド8に載せます。

Hot-Coldは精神力で読み取ってください。

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溶岩流出た場所は赤に囲まれたエリアですね。

フォールス赤外線画像

バンドはB7赤、B6緑、B4で減算してB8に載せました。画像の解像度は10m/pix。

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やはり細かいことまで見えるB7、B6のコンビネーションです。

溶岩流の先端から海岸線までは300m強といったところでしょうか。先端の輝きが鈍っているので、高温の流出口あたりで流化方向でモタモタと迷いが出ているのかもしれません。

B7赤、B6緑、B4で減算の夜間風画像も上げます。

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B7に対して減算のB4がずれるので、まとまった形状の部分は高温域と考えてください。

位置合わせ等はチョイとお時間いただきまして、また報告しますね。

 

火口周辺警報について

しかし西之島の火山活動は、一定の終息を見たという事で6/20には警報のレベルが引き下げられているんですね。

火山活動解説資料(平成30 年6月20 日18 時00 分発表)より

http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/monthly_v-act_doc/tokyo/18m06/201806201800_326.pdf

「火山活動に明らかな低下が認められ、噴火が発生する可能性は低くなっていることから、本日(20 日)18 時00 分に火口周辺警報(入山危険)から火口周辺警報(火口周辺危険)に引き下げました。」

 

下図は長期的に西之島の溶岩流が分厚く乗った範囲、新しく乗った範囲を中心に収縮しておる状況なんですが、今回は参考にならなかったという事でしょうか。

 

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「2017 年12 月と2018 年3 月を比較すると、火砕丘周辺で衛星から遠ざかる方向を示す地殻変動が確認されており、火砕丘周辺が収縮していると考えられます。」

 

前回の復活劇も警戒範囲を縮小したタイミングで再噴火でしたが、地震計は噴火の予兆を捉えていたらしいので、今回もデータの解析に期待したいところですな。

 

とりあえず以上で。

コメントはお気楽にどうぞです~

西之島の海底地形を予知・リローデッド

西之島の海底地形予知図を更新

平成噴火の2ndシーズンも終了し、その噴火のあらましが分かる資料と言えば、2017/10/3の火山噴火予知連絡会の資料。ここでちっとは陸上海底の地形図も更新されていくだろうという中ですが、これががなかなか公開されない。

拙速を旨とする当ブログは早速!最新の海底地形図を予知連絡会に先んじて予知したので公開します。1期目の海底地形は予知しつつ何の検証もしていないが、今度検証しますのでご勘弁を~。

 

青線は国土地理院の海岸線。

あずき色は平成噴火前の海岸線。

黄土色のペイントは1期目で溶岩流が到達した範囲を合算したもの。

黄色のペイントは2期目の溶岩流が新たに到達した範囲。

緑色のペイントは暗礁部。

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等深線のうち主計線が赤い部分は2017/6に海保が公開した海底地形図に対して手心を加えた部分で、未測の領域と2期目の噴火による変化を含め、測定後に噴火の影響を受けたと思われる部分です。

 

平成噴火2期目の影響範囲

2期目噴火で海岸線から海に進出した溶岩流の範囲と、噴火前の海底地形を比較する図はこちら。

特に海底地形の変化領域を赤の曲線で範囲付けしてあります。

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西之島の溶岩流形状と海底地形

平成噴火2期目の影響による海底地形の等深線作成は機械的に行いました。手法は下の図を参照。

平成1期目の横断形状から黄色と緑のエリアは南アゴ海岸からサンプリングした地形。青ペイントは最大溶岩流範囲から推定される新規地形を、模式的に作成し等深線に利用した。

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海保の海底地形図から読む新しい海底斜面は、良く知られる地上の山の安息角35度にほぼ準じていたが、1:1.4の勾配として多少急にしてある。なので最低でもこれだけの範囲に噴火の影響があると言えそうです。

 

海底地形図未測のエリアと測量の範囲、時期

不測の事態とは申しませんが、順次測量された中で海底地形図もデータの古いエリアや測定していないエリアが生まれています。下は2017/6版海図の資料索引図から当方で色付け。凡例は下記。

黄色:2015/6-7 海底地形調査(海保)

ピンク:2016/10 海底地形および陸上地形の調査(海保)

水色:2017/1 海底地形調査(海保)

白色:未測

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 平成噴火1期目終了は2015/11ですから、黄色の範囲と白色の範囲はデータが古いわけで、赤く等深線を染めた範囲については次回再測されるように願いたいす。

 

今回は以上。

平成も終わろうとしていますが、次回はオールド予知の採点、(祭典ではない)をして反省したいと思います。

コメントはお気楽にドゾ。

 

 

 

 

H290816ランドサット8の捉えた夜の西之島

薄い雲のかかった夜の西之島だが

8/13の前回記事では、ほとんど熱活動が無かった西之島ですが、8/16の夜間撮影は雲の影響がある中の撮影となりました。

超高感度で処理すると微弱な輝きが浮かび上がってきましたので紹介します。

データは産総研のランドブラウザーから。

LandBrowser

火映表示画像を超高感度に

おそらく高層のの雲がかかっていますので、B10では地表の温度の全容を伺えません。

またいつもの火映の表示処理ではB7の輝きを確認することは出来ませんでした。B6には完全に感無しです。

使用バンドはB7を超高感度にして赤~黄。B10のネガポジを青着色。画像の解像度は10m/pix。

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熱源画像

使用バンドはB7を超高感度にして赤~黄。画像の解像度は10m/pix。

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位置合わせ

活動が薄いので画像を強調して最近の海岸線だけあててみます。夜間画像の位置合わせはGISソフト位置から南西に28m程度移動してあります。昨今の活動低下状況でほぼ動かない熱箇所を利用して調整しました。

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ここ最近の活動状況を縦連結してみます。

上から2017/7/24夜、8/13昼、8/16夜。

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8/13の日中に微弱にな輝きとして捉えられた場所は、夜間画像においてやはり微弱な熱箇所としてほぼフィットしてきたようですね。

判読です。

超高感度でB7を読み取った中で、2期目の平成噴火で活動していない場所にも輝きを捉えました。高層の雲の影響はあったものの、古い熱源をも捉えられた事からその影響は限定的なものと言えそうです。また噴煙はあったとしても雲の下になったと思われます。

確認できる輝きはかなり高感度の処理しましたので、溶岩膨張亀裂や余熱によるものでしょう。

火口付近には極めて微弱な輝きを確認しましたが、火砕丘には高温の物質は一切載ってないようです。

引き続き活動は落ち着いてしまってますが、気象衛星などでは引き続き噴煙状のものを確認できますので、留意してみていきたいと思います。

 

判読と記事は以上です。

コメントはお気楽にどうぞです。

LandBrowserのクレジット表示 The source data were downloaded from AIST‘s LandBrowser, (http://landbrowser.geogrid.org/landbrowser/index.html/). Landsat 8 data courtesy of the U.S. Geological Survey.