激変する西之島に池があるのか疑惑
お茶の間に西之島復活
お久しぶりでありますが、令和噴火となった西之島の活動沈静化後初の本格的調査が含まれたETV特集が2021年5月1日に放送予定です。
詳細は下記ツイッタを参照してください。
次回の #ETV特集 は
— nhk_Etoku (@nhk_Etoku) 2021年4月24日
「#激変する西之島 #太古の地球に出会う旅」
小笠原の絶海で拡大を続ける西之島。2020年夏にこれまでで最大の噴火を起こした島の最新調査に密着。そこに広がる驚きの光景とは?地球の謎、生物進化の謎に迫ります。お楽しみに!
5/1(土)夜11時 #Eテレ pic.twitter.com/FM8Ynkpp5y
予告動画中の最新の西之島画像をキャプチャしました。
北側から火砕丘望む
火砕丘北側から山麓望む
火山灰に覆われた西之島に池がっ!
この番組紹介、大変興味深いものを写し込んでます。ここに自分の睨んでいた「池」が写り込んでいたからです。
水たまりレベルの寸法ではありません。
動画の池の位置は下図に。
とはいえイマイチはっきり写っていないように見えます。本当に池なのかよ?と。
が、ずっと池っぽかった場所なのですよ。
西之島に池が出来た経緯を紹介
池は2020年9月に成長し、10月以降縮小していったように見ています。
写真は海保の海域火山データベース2020/9/5の画像に加筆。
衛星画像に切り替え
海保のその後の写真は火口ばかりなので、時系列的にはSKYSATの画像で紹介しましょ。データソースは下記から。
https://imagehunter.apollomapping.com/
西之島北側の切取りで、当該箇所の解説をします。
予告動画の撮影時期に近い2020/12/8の画像です。解像度低いので位置の参考に。
では時計を巻き戻して、噴火鎮静時期から
2020/8/28 沈静化初期、白っぽい所は水が流れシルト分の堆積した形跡で、池の東部分に扇状地を作っています。扇状地が池部分に届いていないので、水は到達していないように見えます。(地質的にはあくまで想像)
2020/10/3 水が大量に流れ込みました。このあと西側の蹄鉄池部のみが残っていきます。
2020/10/4 上の1日後ですが、随分水が引いてます。
2020/10/14 池の輪郭は変わらず。落ち着いたようです。
2020/12/8 東側が埋まり、蹄鉄型になりました。この段階で池の南側の丘をにくきゅうと呼び、地名を付けて管理してます。
JAMSTECの調査は12月だったと思うので、予告動画は全容を映していないですが、この時期の蹄鉄型の池になると思います。
感想
ここまで自分の中にあった「あれは池だろう疑惑」を紹介しました。高解像度の放送でどう見えるのか、どう紹介されるのか、楽しみです。
しかし最近はSKYSATにも池は明瞭に映り込まないので、「乾季かなあ、あるいは排水路が開いて抜けてしまったかなあ」などと考えています。
さて放送が待ち遠しいですが当日はテレビの無い場所に居ますので、自分は録画で参加。
皆様の目でご確認いただければと思います。
ではでは~
R020211ランドサットの捉えた西之島
いつもの様に画像だけ置いてましたが、先だって海保が西之島の写真と動画をUPしていたので紹介します。
画像は元データに対してホワイトバランス補正を通しています。
西方向から
同じく西方向から火砕丘を見下ろして
火砕丘が大きくなった、というのが感想です。再噴火前の火砕丘は全て新しい火砕物、スコリアで埋まったと思われます。
ランドサットの画像紹介です
撮影時刻に西之島付近の雲は無く絶好のシャッターチャンスでした。得られた画像も久々のヒットです。
データはUSGSから。
パンシャープンでB1青、B3緑、B4赤、B8背景。加増の解像度は10m/px。
フォールスカラー画像
B7赤、B6緑、B5青、B8背景。
夜間風画像です
B7赤、B6緑、B5青、B4減算。
最近は面積の拡大が続いていますので、海底地形の等深線を載せます。等深線は海保の海底地形図を参考に令和噴火前を想定して当サイトで引いたものですのでご注意を。
おなじみの夜間風画像の赤色立体地図載せです。
赤色立体地図はアジア航測の千葉先生が発明した特許技術です。
溶岩流の活動領域が広がって、このまま参考にできる場所は北方向だけになりました。
2020.01.31だいち2号の撮影したSAR画像に夜間風画像を乗せます。 最新の状況はこれが把握しやすいかと。
判読です
流出口自体はB5でも確認できる高温で、北方向への流下を見せています。
東北方面に流下させていた火砕丘横っ腹のルート出口あたりが脆弱になっていて、東方向と北方向に新しい流下が起きていました。2/4の海保動画でも北方向への新しい流下口は山腹に確認できます。
これが成長したものかはっきりしないものの、今回は北方向に向かうさらに新しい流れが二本確認できます。
2/4に主流だった南東方面の流れは沈静化傾向ですが、先端に輝度を確認できます。
東方面への流れは広域かつ新しいものの連続していないため、トンネル化したか断絶したか、気になるところです。
溶岩流出口がここまで不安定なのは平成噴火の初期以来ではないだろうか。海保の画像を見ても粘性が低い状態のように思います。
組成が変わったのか分かりませんが、今までの噴火と違った経緯をたどるかもしれませんね。
とりあえずここまでで。
ご意見コメント等はお気軽にどうぞ!
R020131だいち2号の捉えた西之島
200131に撮影された、だいち2号のSAR解析画像が国土地理院からUPされました。
合成開口レーダーで悪天候でも地形を把握できる「だいち2号」。画像情報が白黒テレビ並みなのがじれったいですが、安定感は抜群ですな。
単純画像のGIFアニメも更新されていますよ。
このGIF画像の縦横比は縦長になってます。理由は分からない。
位置合わせする際はPDFデータの画像を参照しましょう。
「だいち2号」のレーダー解析では、地形の変化がないのなら毎回同じデータが得られるはず、という特徴から、様々な方法で地表面の違いを把握する画像処理が紹介されています。
有名なところでは下に紹介する干渉波処理でしょうか。
2回の観測データの波長を重ねることで得られる波長のずれを色彩化するもので、波長の長さ分で色合いは回帰します。おそらく。(;^_^A
上記地理院の資料から貼り付けます。
ここでは色合いに統一性が無くザラザラした模様になった範囲が変化があった場所、という事です。
しかしそこが見たい知りたいわけですが・・まるでモザイク処理だ。またか。
ええい!俺の見たい画像はなんでいつもモザイク処理されているんだ~っ!
ヌガー!!
フーウ、落ち着け俺。こんな時は昭和の深夜番組「砂の嵐」を見るんだ。
そういえば地上波デジタルになってからは見た事が無いが・・・
当方処理画像の紹介
紹介するのは上記サイトのPDFから得たものです。処理の前にコントラストを高めました。
この白黒画像ですが、高温の溶岩は黒く筋のように見える事があり、影なのか高温なのか毎度気になるものです。
砂の嵐
0117の画像に0131の画像を重ねて「微粒とりだし」の処理をしました。すると、「差の絶対値」とは違った差分が得られます。
変化の無かった場所はザラザラした砂の嵐の様に見え、しかし地形に変化のあった場所は有意な形状を見せてくれます。0131の画像を赤くしてうっすらと重ねたので紹介します。
この処理を読めば撮影間隔の14日間で海上に増えた面積が白く確認できます。
地上において明らかに変わった部分はなんとなく立体的に見える。
溶岩流もそうですが、火砕丘斜面の法尻の位置が三日月形に見えていて、法尻位置が変化したと読めます。
ただこの処理の注意点としては、立体に見える度合いが標高の変化を表しているわけでは無い事です。
簡単に言えば地表の勾配に変化があった場所が強調されている感じでしょうか。そのようにご承知ください。
gif解説
処理した画像から変化のあった範囲を七して、gifアニメにしてみました。画像は
200131だいち
200131だいち+溶岩流補助線
200131~200117変化図+溶岩流補助線
200126ランドサット8+溶岩流補助線
以上のループです。
火砕丘から北東方面に伸びる一筋の道。同じ場所の200117の海保の画像に想定外に高さのある尾根筋を確認していました。これは溶岩堤防化したものだと考えてます。
溶岩堤防の上部で決壊が起こり、東側などに流れたのが今回の大きな特徴でしょう。
1/26のランドサットは薄曇りでしたが、把握できた活動は限定的だったのかなと思います。
判読です
さてこの変化を測ってみると、法尻の東方向への伸延は26~28m。安息角を使用してそのまま山頂の高度に使用した場合は17m程度高くなりますね。法尻の標高に依存するので単純には行きませんが、少なくとも標高を得るためのポテンシャルは高まりました。
今回面積はあまり増えていませんが、 噴火初期と比べて、スコリア丘は著しく大きくなっています。溶岩は地上部の重ね塗り、特に火砕丘の変化に大量に使用されている状態が続いていると見ます。
特に私見ですが西之島の場合、海中に溶岩流の先端が到達すると、出口が冷却により詰った溶岩流は溶岩トンネル部の上方を押し出して地表に膨張亀裂を作り、非常に危険なクレバス地形を生み出すと考えてます。
今は新しく高温の溶岩による平坦化が進んでいるようなので、将来鳥が進出する事を考慮すれば喜ばしい事かと。
記事は以上です
コメントはお気楽にどうぞ!
R020121 ASTERの捉えた夜間の西之島
北方向に新展開(ちょっとだけ)なるか
20200117にだいち2号のSAR画像で写っていた新しい溶岩流の萌芽。
気になるところでしたが、4日後の夜間にASTERが熱画像で西之島を捉えていたので検証したいと思いますよ。
早速ASTERの熱赤外画像ですが、5つある熱赤外バンドを全て比較明で合成し、グラデーションカラーで処理したものです。
ASTERのデータはMADASから。
MADAS(METI AIST Data Archive System)
画像の解像度は15m/ピクセル
多少雲の影響があるようですが、よく映っていると思います。
合成相手は国土地理院提供のSAR解析画像(下)です。
上記の二つを載せ合わせただけだと色まみれになるので、CMYKで色分解して白黒にし重ねた、2種類の合成をUPします。
合成して変化を確認したい
最初に差の絶対値合成です
ちょと明瞭だけど難しいな。
お次は微粒結合です
ザラザラした下部分がSARの捉えた変化の大きい場所になるのですが、干渉波画像は上手に利用してみたいけど上手くいかないです。
SAR画像と合成して海岸線を確認
お次はSARの白黒画像と合成です。
海岸線部分と北方向に新しく出た溶岩の萌芽は、流れとしては歩みがのろいかもしれませんが、しっかりと広がっているようですね。
最後は赤色立体地図に乗せましょう!!銀河浜へ向かっている~~
赤色立体地図はアジア航測の千葉達朗先生が発明した特許技術です!。
判読
溶岩流出口の位置は変わらず、熱活動の目立つ末端は海岸線で主に2箇所。内陸部に新しく1か所となったようです。
海岸線は大きく変化していませんが、活発に海に流れ込んでいる状態です。
陸上部のあたらしい流れは、ゆっくりながら銀河浜の方に向かって行っているようです。このままだとまた一つ浜が消える・・・のか?
記事は以上です。
明日26日はランドサット8の撮影日です。
天候に期待して待ちましょうかね!!
コメントはお気楽にどうぞ~。