H270707ランドサット8の捉えた西之島
南の海にぼた餅はいかが
測量調査中の西之島ですが、7月6日の朝6:30頃から中央の第7火口からの噴煙が止まり、10:50頃になって火砕丘北東斜面から噴煙が発生し、新たに火口が形成されたと速報がありました。
斜面の北東側はホルニトのあった場所ですが、噴煙の発生しているのが見えます。
画像は海保の7/6速報から。
火口から噴煙が上がっていないだけで、山の雰囲気は変わりますね。出来たてほやほやの黒ゴマのぼた餅、という所でしょうか。うーむ、食いきれん。
しかしその後山頂からの噴火は復活して側火口と思われたこの噴煙は収まってしまったようです。
スコリアは何処へ
さてこのぼた餅火砕丘の北東側は、年末年始に起きた新展開の時にスコリア丘を崩して、馬蹄形スコリア丘となりかけていた場所だと思っています。
あの頃年末年始の忙しい時期に起きた新展開で、まともな航空写真が無かったからか、このスコリア丘の崩壊に言及された記事や資料が今までありませんでした。
ですが雨でも曇でも撮影できるレーダーを持つ「だいち2号」がH27/1/7に証拠っぽい画像を残してくれたことが判明。タイミング良し、満を持して紹介しましょう。
前後の似たアングルからの画像と並べてみました。
出典:第132回火山噴火予知連絡会資料その5の1(西之島、蔵王山、吾妻山、草津白根山)より
中央位置の1/7撮影の火砕丘だけ、北東側がえぐれて見えます。第7火口が無事なので、馬蹄形とは呼べないか。
しかし白黒だとえぐれているのかどうか読みづらく証拠不十分かもしれない。
ちなみに火砕丘がえぐれるほど取り崩されると、溶岩流の上にベルトコンベアーに乗ったかのような形でスコリアラフトが生じると言われています。
出典:早川由紀夫先生の下記サイトから
フィールド火山学 Fieldguide to Volcanoes
このように取り崩されたスコリアは溶岩流に乗って、どんぶらこ~どんぶらこ~と海に向かって流されていきました、とさ。
という流されている最中のスコリアラフト、これは写真があります。
下は海保の撮影したH271/21の西之島。溶岩扇状地が完全に扇になっています。
火砕丘は完全?復活していて抉れは感じませんね。画像は下記海保のサイトより。
さて海に流れ込んでいる新しい溶岩流その扇の部分、やけにモサモサした雰囲気なのですが、これこそがスコリア丘の材料を運んできてしまった材料と予想。
よく見ると溶岩流以外の隙間はすべてスコリアに埋められ、覆われているかのようだ。
ということですが、専門用語だし判定は専門家の先生にお願いしたいので、このスコリアラフトにはhatenaマークを付けておきまする。
この頃に新展開を観測した記事はこちら。
画像が暗いのは技術不足だったあの頃という事でお許しを。
ランドサットに続きますよ。
七夕からぼた餅
本州は概ね曇っていたんじゃないかなと思いますが、七夕の西之島は晴れました。H27/7/7ランドサット8の日中撮影は綺麗なものです。
使用バンドはB2青、B3緑、B4赤、B8背景。画像解像度は10m/px。
海がうっすら変色水。噴煙も間欠しながらしっかり噴いているようです。ぼた餅も何とか確認できますね。
お次は溶岩流判読画像
使用バンドはB1青、B7赤、B6緑、B5減算、B8背景。画像解像度は10m/px。
噴煙か雲か、火口付近は火映に照らされている。熱活動は十分だ。でもホルニト位置は熱が見えませんね。
赤色立体図合わせ
乾いた大地に貴重な池がピンチになってきている。こんな時は赤色立体図で地形と溶岩流を読み解こう!
使用バンドはB7赤、B6緑、B5減算。スケールは100m毎ゼブラで図示。
赤色立体図は千葉先生の発明したアジア航測の特許技術です
いかん、これは池存続の危機。やばいわ~。
しかし、なかなか気になる流れもありますよ。
判読です
なかなかの好天に恵まれましたが、最初に紹介した北東の新しい火口の活動は確認できませんでした。
火映を生み出す熱源が、7/3に確認された溶岩流出口からの活動で継続している状況の様です。
東頬のメダカ池とタニシ池に迫る溶岩流はまた一歩進みました。流域の谷筋に入ったらしく、もはやこれまでか。
東頬崎と新しい溶岩扇状地の間に入った溶岩流は少し成長し、海岸線から東に出はじめました。東海岸は深いので、余り成長を期待できませんが弱点の補強になっていると思います。
気になる流れですが、火砕丘南側には新たな溶岩の流れが生じています。順当にいけば南アゴ海岸に到達しそうですが、少し細いか。
記事は以上です。
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