西之島の海底地形図の予知情報報告(その3)
電子顕微鏡で見る西之島の海底地形
枝を伸ばす神経細胞を彷彿させると言われた西之島。自分もゼニゴケに似ていると言ったりしていますが、生き生きと成長するローブを見れば生命力にふさわしい何かを連想するのは自然な事ではないでしょうか。
その生命を細部まで見ようとすれば電子顕微鏡でしょう。?
電子顕微鏡の画像というのは、やたら小さいモノの凸凹やシワシワがこれでもかと表現される。ご存じ微細のモノを逃さず明瞭にするあの感じで、光学的に見えないモノなんかもばっちり確認できるわけです。
というわけでなぜか『神は細部に宿る』、今回紹介するのは電子顕微鏡で見た西之島!・・
・・の様な画像です。
しかしこの立体感ある迫力。さすがだ電子顕微鏡! の様なカラー画像!
元図の海保の海底地形調査結果から、等深線を引き出したいと思って色々していたわけですが、偶然この画像を得ました。この処理はGIMPの「フィルター」から「輪郭抽出」の「輪郭」です。当然の処理だったのかもしれんが、GIMPは奥が深くて以下略。
水深の抽出とウイルスの排除
さて重要なのは水深200mまでがきれいに色分けされ、間隔もちょうど50m毎の4分割となった事です。これを利用しない手は無い。早速水深50,100,150mを主体に等深線を更新した次第。
今回当該資料は例によってタテヨコ比が横広な形状なので画像は変形させた。西岬暗礁や小夜浜暗礁が図中に確認できるため、これと経緯線を位置合わせに利用し、水深の表記文字が小笠原諸島諸分図に対して大ずれしない配置にして位置合わせした。
ここで電子顕微鏡画像図の中央部には新しい西之島の位置は、悪意あるセキュリティーのウイルスが脆弱性のため割愛。ここも電子顕微鏡、空気を読んだ大人の事情でウイルスの隔離は万全である。
※記事中の電子顕微鏡はフィクションです。実在の電子顕微鏡とは関係ありません。
元の図は海保のスライドショー動画に出てくる暫定調査結果で、こちらで紹介しています。
6月24-7月7日動画 約7分11秒【約119MB】西之島の活動(スライドショー)
正式な一般向け海底地形資料は10月21日の火山噴火予知連絡会かな。データの公開もありますから、そろそろという事ですが暫定結果からこれで行きますよと。
等深線の抽出と位置関係
そのようなわけで抽出した等深線を、当方が描いてきた各時期の海岸線に載せ白地図状にしました。
今回電子顕微鏡図から主に変更した等深線は海岸線と同じ色になっています。また水深50m線は読めなかったので、途中途切れていますよ。
海岸線は自分の今までの活動記録から、H27の6月中までの主な描画レイヤを抜粋して表示していますが、線色が色々だし混雑も激しいです。整理するか。
溶岩流が活動して一度陸地になった部分の下には、支える海底基部が残っていると思うので参考に表示しています。
というわけで海底地形予知活動としては順風満帆、海保の本評価を待つばかりです。
続きます。
続きを読むH271011 ランドサット8の捉えた西之島
南の島の西之島
思い出したように少し前8/23のNHKスペシャルを見返したりすると、どうにも憧れを禁じ得ないのが無人の360度カメラが島に降りて撮影した映像。
中でも自分が好きなのはこの風景です。
旧島南台地から南側コバルトブルーの海に、小夜浜の波打ち際が遠く緩く弧を描く。
空に無数のカツオドリが舞い、新しい岩は既に静まり波打ち際で水平線を望んでいる。
小夜浜は新しく生まれた浜で、噴火の前は海だった場所だ。
いつかこの浜で体を休める人が感じるのは、はたして命の息吹なのだろうか、
それともこのはて無き海に浮かぶ、人類の孤独なのだろうか。
撮影概況画像
さて海岸線の白い波も落ち着いた感じになった西之島。
H27/10/11ランドサットの撮影した西之島は、またも好天。素晴らしい画像となりました。
一部沖合の波に交じるまだら模様はなんなのか気になるが概況画像です。
画像のバンド処理はB1青、B3緑、B4赤のトゥルーカラー。画像解像度は60m/px。
濃いめの噴煙です。それとも自分の処理が濃すぎたかな・・?
パンシャープン画像
拡大してパンシャープン画像。
バンドはB1青、B3緑、B4赤、背景B8。画像解像度は10m/px。
手前味噌だが今回はなんだか美しい。噴煙も頼もしい。火砕丘の硫黄色も健在のようだ。
溶岩流画像に続きますよ。
続きを読むH271007ランドサット8の捉えた夜の西之島
さすらいの衛星画像ハンター
さてランドサットやEO-1、だいち2号と紹介してきて、他にも衛星が撮影しているのか?という質問が最近出ました。もちろん狙われていますよ、西之島は。
前回紹介したUSGSのEarthExplorerは合成前の素材にアクセスするマニアックなモノでありました。だがさらなるメニアーックなものを紹介しようとしましょう。
すると意外や、簡単に確認できる調理済みの画像に出会えるんですねー。
世界の様々なシーンで1m/px以下などという解像度の高い衛星画像が販売されています。 高価な買い物なのでお店の前に置いてある、ランチの模型の様な商品サンプルくらいあります。これが狙い目です。
衛星の運用元毎にアクセスし、登録してからよく分らないGUIに付き合ってやっとその商品サンプルに出会えます。しかし登録とか検索とか毎回めんどくさい。
だが!数多くの商品サンプルというか試供品というか、そんなものがまとめて確認できるサイトを見つけました。時代はまとめサイトですな。
ここは弓と矢のアイコンがやる気十分、今度はエクスプローラーじゃなくハンターです。やはり愛の狩人って奴です。
高解像度画像を売るべく紹介しているので、商品サンプルも提供元によっては上等なクオリティーがあったりします。
利用方法は、まずアクセスしたら
- Search for Locationに「nishinoshima」と入力して検索。一発で西之島UPに。
- Resultsの撮影リストを適当にクリックすると低解像度のサンプルを見れます。
ここでShow FiltersからCloudCover(雲量)やOff-Nardir(撮影アングルかな)、Resolution(本来の解像度)のスライダーを調節して衛星や状況を絞り込むことが出来ます。
そんなわけで下はH27/9/27ワールドビュー2号の捉えた西之島のサンプル画像。
やるなサンプル画像。これは良いものですが、食べられません。
概況画像です
夜間画像の紹介です
2015/10/7夜間ランドサット8の撮影した西之島。バンドはB11濃いシアン着色、B10青着色、B7赤、B6緑。画像の解像度は60m/px。
雲もありますが、良いタイミングで撮影されたようですね。うっすらと島の輪郭が浮き上がり、なんだかきれいに仕上がりました。
火映の表示に続きますよ。
続きを読むH271008 EO-1の捉えた西之島
西之島探索に
ここ最近は溶岩流が海中に到達せず、面積の拡大が起きていない西之島。
10月7日の夜間にはLandsat8の撮影もありましたが、データがほぼ同時に公開されたので、悩んだ挙句見て分かり易い昼間画像のEO-1の画像を先行してUPしていました。
そのEO-1のデータはUSGSのEarthExplorerから取得します。
ここで扱っている画像データのダウンロードには登録が必要ですが、低解像度のサンプル画像は登録なしで閲覧できます。GUIとしてはひと手間ありますが、
- Search Criteriadeの地図で見たい場所をクリック。
- Data Setsで見たい衛星をチェック、ここはEO-1のALIを選択。
- 下のResultsで結果が最新版を上にして一覧に表示される。
足マークで撮影範囲、イメージマークでサンプル画像が確認できます。 ここで天気が良かったらダウンロードして処理・・という事にしています。
このEarthExplorerは歴代LandsatやEO-1以外にも多くの衛星画像等のデータにアクセスしフリーで入手できますが、他のデータはイマイチ使い道が分らない。とほほ。
西之島のEO-1画像は処理品質を一定にしているSEDさんの推移映像が気持ち良いですよね。
「西之島最新画像(EO-1/ALI)」ムービー 宇宙開発と共に 宇宙技術開発株式会社 衛星画像データサービス
自分の画像処理は一定どころではない。溶岩流を見たいがために、お手盛り山盛りてんこ盛りでございますのでご承知を。
朝日を浴びる西之島
で、紹介していた10月8日朝方のEO-1画像です。時刻が9時前という事で、朝日というのも遅いですが、火砕丘の西側はまだ影になっています。かなり良い感じに撮れているのじゃないでしょうか。
1枚目はパンシャープン。B1背景、B2青、B3シアン、B4緑、B5赤、B6赤。画像の解像度は10m/px。
言ってるそばから謎のバンドてんこ盛りであるわけですが、今回緑担当のB4の画像に荒れがあり緑を単独で担当させるのが酷だったので、B3を青~緑にするなどして配合飼料として利用してます。
ちなみにEO-1のバンドの名前はランドサット8とは異なりますよ。
赤外でお熱を測る
お次は赤外フォールスカラー画像で、赤外線メインの溶岩流スペシャルです。
B1背景、B10赤、B9緑、B2青。画像の解像度は10m/px。
最近の画像の中でも、今回は高温の範囲が狭いですね~。でも熱量はホルニトあたりで充分にあるようです。
続きます。
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