H290606ランドサット8の捉えた夜の西之島
新展開に入った西之島
先行して画像を上げていましたが、南西方向に太い流れを作っていた西之島の溶岩流は、第7火口のすぐ西側で方向を変え、西へと向かう姿をランドサット8の夜間撮影が捉えました。
データはUSGSのEarthExplorerからです。
サーモグラフィー
追記:前回取り組んだサーモグラフィーを追加します。
バンドはB11。グラデーションマップ張っていないので、下の文字列から精神力で読み取ってください。
温度低い:紫-青-緑-黄-赤:温度高い
また輝度温度も分からないので体力で判読してくださいね。
火映の表示
バンドはB10ネガポジで青着色、B7赤、B6緑、B5高感度で青。画像の解像度は10m/px
雲がイマイチはっきりしていなかったので、B10のネガポジ青を着色としました。
火映の表示はもう一枚。
バンドはB10青着色、B7赤、B6緑、B5高感度で青。画像の解像度は10m/px
夜間の雰囲気はこちらの方が出ているかなと思います。
溶岩流画像
バンドはB7赤、B6緑、B5高感度で青。画像の解像度は10m/px
第7火口、そしてそのすぐ北側にある流出口は白く輝き、火砕丘を回り込む様子が見て取れます。南西方向に見える溶岩流はなく、溶岩トンネルの出口のみ扇型に輝いています。
2017/5/25の日中画像に乗せます。
バンドはB10ネガポジで青、B7赤、B6緑、B5高感度で青、背景は5/25のB8。画像の解像度は10m/px
日中の噴煙に騙されないように判読してくださいね。
位置合わせ
海岸線が確認できたところで位置合わせです。
溶岩流の脇にある黒い点は、よく分からないのですが、高温の溶岩流がある画像で見かけます。なんじゃろうか。
赤色立体図乗せ
位置合わせ画像に千葉先生の赤色立体図を乗せます。
バンドはB5青、B6緑、B7赤、背景は赤色立体図。画像のスケールは図示。等深線は10m毎。
赤色立体図はアジア航測の千葉先生のサイトから。国土地理院が2015年12月9日に測量した2.5mDEMのものです。
http://arukazan.jp/twentytwenty-master/index.html
すでに新しい溶岩流は更新された地形の上を流れているため、赤色立体図をもってしても展開を読むことは出来なくなっています。心で上塗りして読んでください。
判読です
見ての通りで西方向にメインストリームは流下方向を変えました。
今は新しい西側の溶岩扇状地の南端に向かっていて、先端は海岸に到達したばかりのようです。流路は西之島の旧島南台地より離れた位置を通っていて、旧島に居座る海鳥たちに今すぐの影響は無いと思います。
南西方向の溶岩流は溶岩トンネル化して熱を先端部分でしか確認できません。すでに供給が奪われて先端部分の輝きも残り火である可能性があります。
今まで安定して流下していた何もない所から、急激に流路がカーブした理由には、溶岩扇状地末端の冷却による溶岩渋滞、そして溶岩堤防の決壊、その時周辺地盤が相対的に低くなってしまっていた事が考えられます。
周辺地盤は想像ですが、再噴火当初の高温の溶岩が生み出した、比較的平坦な地形状況と思います。旧島方面も状況は同じはずですから、いつ溶岩流が旧島南台地向かっていってもおかしくはない、そう思いました。
もはや南台地には祈る以外の防護策はないようです。
今回の記事は以上です。
すでに頂いておりますが、さらなるコメントもお気楽にどうぞ。
H290604西之島クルーズなどから
2017/6/6はランドサットの夜撮影という事で、今夜は期待したいところですが、
その前に噴火再開後初!の西之島クルーズが6/4にありました。
当日は雨交じりの天候で残念な事でしたが、活動中の西之島に肉薄するツアーという事で、参加者の方々は貴重な体験をされたことと思います。
西之島クルーズ
ツアーの主役はこの船、おがさわら丸です。
「素晴らしい船だ!!・・・ムスカ、娘は白状したか?・・」
おっと、船を見るとついつい数少ないセリフが出てしまいますな。
引用はフジテレビからです。
ジェット機が束になって離陸していく、と表現されるストロンボリ噴火の轟音が響いています。岩をも撒き上げる、強力な噴気です。
女性陣らの「すごーい」「大き~い」などという言葉も聞こえてきて、西之島ウォッチャーの諸兄らもさぞやご満悦、といったところでありましょう。
えーさて面白かったのはサーモカメラ。ハンディカメラの大きさでしたが、写っているのはプレデター視点の画像でしたね。
山体の左側に広がるのは南西に広がる活動中の溶岩扇状地、そして山頂からポンと出たのが高温の噴気です。高温噴気周辺には飛散する溶岩片も見えますね。
肉眼では見えない山頂部でも、こんな形で撮影できるんですね。素晴らしい!
サーモカメラは山頂部もアップされていますが、
山頂部分が随分平らになってます。様子から考えると、当初よりも爆発力ある噴火が発生して細く尖った山頂部分をすでに崩したものと思われます。想定してはいましたが、ちょっと残念。
参加者の動画はこちらが見やすかったです。
動画で縦パノラマ
さて西之島の詳細な解像度の画像が最近ないので、この西之島クルーズにも期待していたのですが、画像としては晴れた時のようには判読できません。
そこで2017/5/25にNHKの撮影した画像から動画を継ぎ接ぎして溶岩流全体を見える画像を作りました。
NHKの撮影した5/25は、先日記事にしたランドサット8の撮影日と同日とということで、遠景で見ているランドサット8のデータと、現場状況との整合を確認してみます。
中身は軽いがちょっと重い画像です。
画像の接合部は補正処理するものですが、ポンポン乗せて大体良かったので合わせただけです。そもそも自分用に作ったモノでして処理も甘くて申し訳ないですが、しかしこの画像ならば火砕丘から流出口を通って、一気に海へと下る溶岩の流れがはっきりわかります。
途中に切れ目がないため、まだ溶岩トンネルが出来ていないのではないか。また西之島溶岩流の特徴であるキューティクル地形も、トンネル出口がない状況では生じていないと思います。
この時期の参照動画は以下に。
西之島は今も活発な火山活動続く NHKが撮影 2017年5月26日18時11分 - YouTube
NHKでも Worldの動画は少し違う絵があるという、面倒な状態でした。そもそもNHKの日本語動画はすぐリンクが切れてしまう。
FNNは海保の動画です。溶岩流を映した赤外線動画はこちらの方が良かったです。
Franceinfoは再噴火前の動画も交え、同一アングルを並べるなど状況を理解しやすくまとめています。素晴らしい!フランス万歳!
どうもフランス人は火山が好きなのだと思うんですよ。この完全に偏ったブログにもフランスからのアクセスが多いし。
さて 今回はこの辺で。ランドサット8の夜間画像に期待しましょう!
H290525ランドサット8の捉えた西之島
2017-05-25 ランドサット8撮影の西之島
噴火を再開して1か月を超え、ますますお盛んな西之島。今回は噴煙が分身の術を使用し、話題と誤解を与えるなど侮りがたい活動をしています。
パンシャープン画像
さて本データはUSGSのEarthExplorerからです。
パンシャープン画像のバンドはB1青、B3緑、B4赤、背景はB8。画像の解像度は10m/pix。
形が・・なんかドーモ君みたいになってきた。
赤外フォールス画像です。
溶岩流を見る画像です。
バンドはB5青、B6緑、B7赤、背景はB8。画像の解像度は10m/pix。
B7とB6の高熱部が明瞭です。活動活発ですな。
熱赤外線画像
気になる北側の2本目の噴煙。
この実態を知るには多少低温でも温度差を認識できる熱赤外線でしょう。
そこでプレデター視界風のサーモグラフィー風熱赤外画像を、なんと初めて作ってみました。
熱赤外画像のバンドはB11です。
結局現在活動が見える場所以外に、熱源は見当たりません。新展開はまだ無いという事ですかね。
この程度の画像を得るのに一苦労。ランドブラウザーさん復活してくれ!
位置合わせ
パンシャープン画像に海底地形図を乗せます。海岸線は5/2の海保から。
南西の溶岩扇状地が結構広がった。水深も50mを超えるところまで陸地になったことがわかります。
赤色立体図のせ
日中写真の赤外フォールス画像を、夜間風に仕上げて千葉先生の赤色立体図に乗せます。
バンドはB6緑、B7赤、B4減算、背景は赤色立体図。画像のスケールは図示。等深線は10m毎。
赤色立体図はアジア航測の千葉先生のサイトから。国土地理院が2015年12月9日に測量した2.5mDEMのものです。
http://arukazan.jp/twentytwenty-master/index.html
日中画像は目視確認できるし、ほぼ真上から写真を撮れているのでズレが少ない。第7火口位置に光点がばっちり乗りましたぞ。
判読です
今回も撮影は好天に恵まれましたね。
溶岩の流下方向は南西方向ですっかり安定しました。南西方向の溶岩扇状地は、一部で水深50mの等深線を超えた位置まで達し、海岸線からは活発に湯気が上がっています。
ここで噴火前に比べて拡大した陸地を測定すると、西側は0.04km2、南西の溶岩扇状地は0.11km2、合計0.15km2は広がっている。島全体の面積は2.82km2。スルツェイ島の2.80km2は超えたかな?
今回は噴煙が火砕丘北台地から立ち上って見えるということで、ちょいと検討してみました。
実は最近似たような噴煙を見ました。5/10にSPOT6の撮影した下の画像なのですが、5/25と同じように噴煙が2か所から上っているように見えます。
画像は下記サイトから
Image Hunter by Apollo Mapping
すわ新展開かと思ったが、結局この時も北側に新たな熱源はなかった。
ということで、今回の噴煙については海岸部分の湯気以来のものと、火口からの噴煙由来のものの2本立てだったと考えます。
原因は下図参照で、上空と海面付近で風向きが違うという状況かと思います。
熱い溶岩流が海岸から湯気を出していますが、この海岸付近の湯気は北北西に向いて、湯気は一旦水蒸気となって薄くなったのち、さらに上昇して上空に至って2本目の噴煙として復活している、と見ました。
以上です。
お気楽にコメントしてください。
H290521ランドサット8の捉えた夜の西之島
2017-05-21 ランドサット8撮影の夜の西之島
9日ぶりにランドサット8が西之島を夜間観測しました。
当日は低気圧の接近に伴い上層に雲がありましたが、溶岩流は確認できたと思います。
本データはUSGSのEarthExplorerからです。
今回は高層の雲の影響なのか、噴煙及び火映が見えませんでしたので、雲と溶岩流の様子から。
バンドはB10ネガポジで青着色、B7高感度で赤、B6緑、B5白。画像の解像度は10m/pix。
薄い雲を透過してB7、B6、B5で活動を確認できました。火口及び北側の流出口で温度は高く、活発な活動が伺えます。
溶岩流の表示
高温だけ明瞭にして表示します。バンドはB7赤、B6緑、B5白。画像の解像度は10m/pix。
やはり雲の影響なのか、多少ぼんやりしている印象ですね。
日中画像乗せ
バンドはB7赤、B6緑、B5白。画像の解像度は10m/pix。背景日中画像は2017/2/18のランドサット8から。
南西部の海岸線を超えた溶岩流が横方向に広がった印象を受けます。
位置合わせ
海底地形図に溶岩流画像を載せます。
海岸線は西半分だけ5/2の海保の判読からで、東半分は平成27年9月ごろのものです。直らんな。
また海底地形のコンタは、50m毎に計曲線が入っています。データは海保のモノからトレースしています。 縮尺は図示。
赤色立体図乗せ
西之島の赤色立体図はアジア航測の千葉先生のサイトから。国土地理院が2015年12月9日に測量した2.5mDEMのものです。
http://arukazan.jp/twentytwenty-master/index.html
海岸線の成長とともに、陸上部分の2回塗りもさらに広がりましたね。
判読です
今回の観測は高層の雲にかかったものの、概ね溶岩流の活動は確認できると思われます。
噴火活動の内容に大きな変化はないようです。相変わらず火口及び北側の流出口は高温で、位置的な変化はないものと思われます。
小夜浜から西に張り出したローブは活動を確認できません。動きを止めたままのようです。
南西の海岸線から張り出した溶岩扇状地は面積を増やしました。光点の中心を結んだ測定では、再開前に海岸線に対してこの部分だけでも9万m2は広がったと読めます。
この海岸線は溶岩扇状地最南端の一部でしか、当初水深50m付近の位置からは拡大できていません。流出方向の安定する中ですが、今後は面積の拡大に時間が掛かることが予想されます。
今回は以上です。何とか見えて良かったです。
コメント等はお気楽にどうぞ。