H290419ランドサット8の捉えた噴火を再開した西之島
17か月ぶりに眠りから覚めた西之島&ブログ更新
H27年末以来噴火活動の停止していた西之島ですが、ランドサット8の夜間撮影が噴火の再開を捉えていました。
ところで今年2月には気象庁は西之島の火口周辺警報をいったん解除していたのですが、これを待っていたかのように噴火活動を再開。休止期間などでに設置した観測機器は噴火再開の予兆を捉えていたらしく、東大地震研からまとめが報告されています。
2013年11月21日西之島の噴火活動 – 東京大学地震研究所
お次は4/21の朝日新聞社記事、動画
B7赤、B6緑、B5青、B4白、B10ネガポジで青着色。画像の解像度は10m/pic。
噴火の停滞している時期にはB7を超高感度にしないと見えなかった熱源が、B6,B5,さらに可視光の赤であるB4にも感があり、かなり高温だったと思われます。
ただB10で噴煙を探しても見当たりません。溶岩流主体の活動が始まったという事でしょうか。
位置合わせのためにB10を省いてH27.2.18のB8日中画像を背景にすると
第7火口から高温の溶岩流が流出している様子が伺えます。
位置合わせ後の熱源はこんな感じ。
B11青、B7赤、B6緑、B5青、B4シアンで減算。スケールは図示。
高温のため可視光で光るB4は減算で選択的に赤くなっています。どうも流出口のようですね。
ブラタモリ等でおなじみ!赤色立体図に乗せてみましょう。
赤色立体図はアジア航測の千葉先生のサイトから。国土地理院が2015年12月19日に測量した2.5mDEMのもの。
ソース
http://arukazan.jp/twentytwenty-master/index.html
ううーむ、旧島南台地危うし。
判読です
地震研のまとめによると、4/18から西之島の噴火は再開したとされています。
4/19夜のこの画像、そしてその後の撮影である4/21昼の画像を見ると、溶岩流の範囲は随分広がっていると見受けます。溶岩流出のレートは結構高いのではないかな。
150000m2x5m/3日=25万m3/日くらいはありそう。
旧島南台地にはわずかに残された生態系のストックヤード、営巣地がありますが、ここに迫る溶岩の流れです。レートを見ても実際やばそうです。もうダメかも・・。
再開に臨んで
ランドブラウザーを見て、熱異常がありそうだと思って画像を処理し始めた4/20の昼頃はニュースもなく、夜間撮影で確認する噴火の再開という現象に半信半疑だったのですが、画像から溢れるあまりの輝度に確信をもっていきました。その後気象庁、海保、東大地震研からリリースがあって西之島の噴火は再開したと確定。
事件じゃけんという事でブログ再開というわけですが、長らく眠っていた中その後更新してきた位置合わせ画像をまとめたCADファイルがどっかり破損してしまい、ベースのバックアップデータは一年眠って2歩下がった状態になっています。
その辺も更新しながらぼちぼち、西之島の噴火再開をリリースしたいと思いますので、またよろしくお願いいたします。
H271113EO-1の捉えた西之島
週間火山概況より
先週の週間火山概況からですが、2015/11/25に撮影した西之島の画像が出ていました。見ると火口縁付近、特に内壁側に硫黄の析出物が現れたようです。
これまでの西之島の活動を見ると、硫黄析出物は比較的低温となった場所に現れると思いますので、ここ最近は爆発的な噴火も一段落しているのかもしれません。
火砕丘南側の溶岩流は形が状況が変化していないようです。とはいえトンネル化して流れている場合もありますから、熱画像が見たいところです。
パンシャープン画像
やはりちょいと前のデータですが、11/13のEO-1の日中画像がUSGSにUPされていました。今回は中々きれいに映っていて、良好な撮影環境だったと思います。
下は2015/11/13朝方、EO-1の捉えた西之島です。
バンドの処理はB2青、B4緑、B5赤、B1背景。画像の解像度は10m/px。
噴煙が外れていて、火砕丘の北側の窪地の様子も見て取れます。
溶岩流画像
流れというほどの溶岩流ではないようですが、赤外フォールス画像では熱活動がしっかり写っていました。
バンドの処理はB8青、B9緑、B10赤、B7減算、B1背景。画像の解像度は10m/px。
青が何処に行ったのかという仕上がりですが、火砕丘南側流出口も高熱源となっています。気になる北側の大きめの窪地には熱源がありませんが、北東の小さめの窪地には輝きも確認できます。
夜間風画像に続きます。
続きを読む2年目に突入した西之島の平成噴火活動
左舷、弾幕薄いよ、なにやってんの!
宇宙世紀2015年11月20日(金)、人類が増えすぎた西之島溶岩を目の当たりにするようになって、既に2年が過ぎていた・・。(^_^;)
西之島の平成噴火も最近は熱活動がおとなしくなってきてヒヤヒヤしていましたが、2年目の観測からは新たな展開が起きている。いやまさかこんな弾幕なことになるとは。
画像は2015/11/17海保の観測した西之島。
火口から飛び出して西側の海まで火山弾が到達。ま~るで戦争だよブライトさん。確かに東側の火山弾幕は薄いかも知れませんが。
光環現象
2周年近傍の報道や海保の観測から、西之島の中央火砕丘はブルカノ式の噴火活動が起きていると紹介された。この結果9月に生じていた火口内の小火砕丘は跡形もなく吹き飛んでいるようだ。
ここまで西之島で爆発的噴火とはストロンボリ式が普通だったが、火口から1km先の海中にまで火山弾を飛ばすなど、最近の火山活動は今までと異なる爆発力を呈して継続している。
また激しい爆発の影響で17日の観測では火口上部には光環現象がキラリ!と確認されましたよ。
2015/11/17動画 約30秒【約87.1MB】第7火口の噴火
うっすらと白い霞のような光の環が一瞬だけ見え、解説する野上先生もウキウキしていました。これは専門用語で一般向けの詳しい情報に行きつかなかったですが、どうも激しい爆発の衝撃で生じる現象とのこと。
火砕丘の変化
さて最近第7火口の北側地形が変化しているとコメントしてきましたが、海保の観測からもその事について言及がありました。
そこで10月13日の海保撮影画像と、ほぼ同じアングルの11月17日読売オンライン動画CAPを連結した新旧比較画像を下に用意しました。
右下の海岸付近地形がだいたい似た位置に来ていますから、ほぼ見た通りの変化だと思います。。
うむう、11/17には主火口の手前右側に大穴があいていますね。
ここはシツコク行きましょう、そこで海保の資料から斜め写真。色合いは少し変えています。
なるほど主火口は大きくなり、その北北西にあたるH26/10頃の溶岩流出口位置に大穴が開いたようです。手前の小さめの窪地はホルニト跡付近かな。海保の説明図はこちら。
2015年11月17日 13:50-15:05海上保安庁撮影-説明図2
垂直写真から
海保の言う北側の新しい窪地は写真から明瞭に読めないので判読しないことにして、明らかな二つの凹地について、ここは垂直画像を利用して確認してみます。
ベースの写真は海保から。
噴火前西之島位置や旗揚げは当方で行っていますので、公式ではないですよ。
最近海保のデータベースに解像度の高い写真も添付されるようになり、判読がしやすくなりました。今後は西之島に火星人がいても読み取ることが出来そうです。
ランドサット8の熱活動画像を上乗せ
ここ最近のランドサット8の熱活動画像を垂直写真に載せてみます。
データは2015/11/12と、2015/11/15のB7赤、B6緑。合致の上加算して表示しています。スケールバーは合致作業のためにぶれております。
張り出した斜面の法尻にも11/15の熱源がありますね。しかし11/17の日中データには無いんだよなあ。
西之島の火山活動の状況(11月17日観測)(PDF:約1.6M)
何で凹んでいるのか
さてこの窪地の成因について考察。以下4つのパターンがあり得るでしょう。
A爆発による吹き飛び。
B地下空洞の陥没。
C溶岩流によってスコリア丘が運ばれた。
X隕石がここに落ちてきた。
自分は①の穴について今回、A爆発によるぶっ飛びと考えます。主な理由は北側斜面の張り出し地形と凹地内部の形状から。
張り出し部は7/28の赤色立体図に対して大阪城の真田丸のように著しく出ていますが、B凹現象ではこの地形変化は無理。
C溶岩流の移動は、ここ最近の低調な活動でそもそも溶岩流の確認できていない中、なけなしの地下溶岩流の力では山体を動かし得ないだろう事。また張り出した先の法尻には山体を引きずり出した様な地形の変化が見られないし、引き出された背面にも亀裂が全く生じていない。
それに比べてA爆発的噴火の火口ならば、そもそも現在ブルカノ式で爆発活動している。凹地の内部形状も爆発的クレーターの様相である。張り出し部分はボフッと新しく堆積したと言える。
さて注目のX隕石のメテオストライクは目撃者がいないし、逆に目撃すべき人も住んでいないため実は否定しがたい。単に確率が低いだろうということです。掘ったら隕石やUFO出て来るかも知れぬ。
11/15の法尻の光点は11/17日中データにはなぜか見えない。表面上も特徴が無くて困るが、不活発な溶岩トンネルの破れが火山灰で覆われたか、高温の火山弾が冷える前に撮影されたと考えます。
2周年記念なので地図を更新
さて地名地図を久々に更新。H27/11/20版の西之島地名地図です。
今回は最新の海底地形図に海保のH27/9/16推移図、そしてH27/7/28赤色立体図と暗礁図を合成し地名を配しました。
この記事に載っている地名は、ほとんど公式の名称ではありません。西之島の火山活動や海底地形の様子を語るために、過去の資料を引用したりして本ブログで作製しているものです。
下地の海底地形図は海保から。
この辺のデータは近々海底地形図特集にてまた紹介予定です。
以前の地名地図と海底地形予知記事がこちら。
あと関連記事。
記事は以上です。
コメントはお気楽にどうぞです。
H271115ランドサット8の捉えた夜の西之島
2周年に向けて動画も来ました
西之島のお誕生日迫る中、日テレと読売テレビが飛びました。
下の日テレの動画は噴煙がモクモクしているものです。
ついついコメントを振ってしまいました。
読売テレビは噴煙の少ない時間を狙っているようでしたね。
西之島 噴火から2年 : 動画 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
これはエイの様なフォルムです。まだまだ動画来るかな~?
熱活動画像です
さて好天だったと思う11/15夜間の西之島。久しぶりにランドサット8のB5にも感がありました。ほんのわずかですけど、南の流出口位置でしたので、今回は期待の流出口が一番高温だったと言えそうです。高感度画像から紹介します。
画像は2015/11/15夜間、ランドサット8の撮影した西之島。バンドの処理はB7高感度赤、B6緑、画像の解像度は10m/px。
高温が安定してきたかな、超高感度処理が無くても活動確認が出来る様になりました。
位置合わせに続きます。
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