閣下が不用意に打たれたblog

噴火で変遷する西之島の火口や海岸線、暗礁などの海底地形等の図を衛星画像や各種資料から作成してます

2年目に突入した西之島の平成噴火活動

左舷、弾幕薄いよ、なにやってんの!

 宇宙世紀2015年11月20日(金)、人類が増えすぎた西之島溶岩を目の当たりにするようになって、既に2年が過ぎていた・・。(^_^;)

 西之島の平成噴火も最近は熱活動がおとなしくなってきてヒヤヒヤしていましたが、2年目の観測からは新たな展開が起きている。いやまさかこんな弾幕なことになるとは。

 画像は2015/11/17海保の観測した西之島。

f:id:gravireyossy:20151123151229j:plain

 火口から飛び出して西側の海まで火山弾が到達。ま~るで戦争だよブライトさん。確かに東側の火山弾幕は薄いかも知れませんが。

なにやってんのとは - はてなキーワード

光環現象

  2周年近傍の報道や海保の観測から、西之島の中央火砕丘はブルカノ式の噴火活動が起きていると紹介された。この結果9月に生じていた火口内の小火砕丘は跡形もなく吹き飛んでいるようだ。

 ここまで西之島で爆発的噴火とはストロンボリ式が普通だったが、火口から1km先の海中にまで火山弾を飛ばすなど、最近の火山活動は今までと異なる爆発力を呈して継続している。

 また激しい爆発の影響で17日の観測では火口上部には光環現象がキラリ!と確認されましたよ。

f:id:gravireyossy:20151123101241j:plain

2015/11/17動画 約30秒【約87.1MB】第7火口の噴火

うっすらと白い霞のような光の環が一瞬だけ見え、解説する野上先生もウキウキしていました。これは専門用語で一般向けの詳しい情報に行きつかなかったですが、どうも激しい爆発の衝撃で生じる現象とのこと。

火砕丘の変化

 さて最近第7火口の北側地形が変化しているとコメントしてきましたが、海保の観測からもその事について言及がありました。

 そこで10月13日の海保撮影画像と、ほぼ同じアングルの11月17日読売オンライン動画CAPを連結した新旧比較画像を下に用意しました。

 右下の海岸付近地形がだいたい似た位置に来ていますから、ほぼ見た通りの変化だと思います。。

f:id:gravireyossy:20151123025623j:plain

うむう、11/17には主火口の手前右側に大穴があいていますね。

ここはシツコク行きましょう、そこで海保の資料から斜め写真。色合いは少し変えています。

f:id:gravireyossy:20151123140559j:plain

 なるほど主火口は大きくなり、その北北西にあたるH26/10頃の溶岩流出口位置に大穴が開いたようです。手前の小さめの窪地はホルニト跡付近かな。海保の説明図はこちら。

2015年11月17日 13:50-15:05海上保安庁撮影-説明図2

 垂直写真から

海保の言う北側の新しい窪地は写真から明瞭に読めないので判読しないことにして、明らかな二つの凹地について、ここは垂直画像を利用して確認してみます。 

ベースの写真は海保から。

f:id:gravireyossy:20151123133613j:plain

 噴火前西之島位置や旗揚げは当方で行っていますので、公式ではないですよ。 

 最近海保のデータベースに解像度の高い写真も添付されるようになり、判読がしやすくなりました。今後は西之島に火星人がいても読み取ることが出来そうです。

ランドサット8の熱活動画像を上乗せ

ここ最近のランドサット8の熱活動画像を垂直写真に載せてみます。

データは2015/11/12と、2015/11/15のB7赤、B6緑。合致の上加算して表示しています。スケールバーは合致作業のためにぶれております。

f:id:gravireyossy:20151123212713j:plain

張り出した斜面の法尻にも11/15の熱源がありますね。しかし11/17の日中データには無いんだよなあ。

西之島の火山活動の状況(11月17日観測)(PDF:約1.6M)

何で凹んでいるのか

さてこの窪地の成因について考察。以下4つのパターンがあり得るでしょう。

 A爆発による吹き飛び。

 B地下空洞の陥没。

 C溶岩流によってスコリア丘が運ばれた。

 X隕石がここに落ちてきた。

 自分は①の穴について今回、A爆発によるぶっ飛びと考えます。主な理由は北側斜面の張り出し地形と凹地内部の形状から。 

張り出し部は7/28の赤色立体図に対して大阪城の真田丸のように著しく出ていますが、B凹現象ではこの地形変化は無理。

C溶岩流の移動は、ここ最近の低調な活動でそもそも溶岩流の確認できていない中、なけなしの地下溶岩流の力では山体を動かし得ないだろう事。また張り出した先の法尻には山体を引きずり出した様な地形の変化が見られないし、引き出された背面にも亀裂が全く生じていない。

それに比べてA爆発的噴火の火口ならば、そもそも現在ブルカノ式で爆発活動している。凹地の内部形状も爆発的クレーターの様相である。張り出し部分はボフッと新しく堆積したと言える。

 さて注目のX隕石のメテオストライクは目撃者がいないし、逆に目撃すべき人も住んでいないため実は否定しがたい。単に確率が低いだろうということです。掘ったら隕石やUFO出て来るかも知れぬ。

11/15の法尻の光点は11/17日中データにはなぜか見えない。表面上も特徴が無くて困るが、不活発な溶岩トンネルの破れが火山灰で覆われたか、高温の火山弾が冷える前に撮影されたと考えます。

2周年記念なので地図を更新

さて地名地図を久々に更新。H27/11/20版の西之島地名地図です。

今回は最新の海底地形図に海保のH27/9/16推移図、そしてH27/7/28赤色立体図と暗礁図を合成し地名を配しました。

f:id:gravireyossy:20151123143009j:plain

この記事に載っている地名は、ほとんど公式の名称ではありません。西之島の火山活動や海底地形の様子を語るために、過去の資料を引用したりして本ブログで作製しているものです。

下地の海底地形図は海保から。

西之島海底地形図png

西之島周辺の海底調査データの解析結果についてPDF

この辺のデータは近々海底地形図特集にてまた紹介予定です。

 以前の地名地図と海底地形予知記事がこちら。

あと関連記事。 

記事は以上です。

コメントはお気楽にどうぞです。

LandBrowserのクレジット表示 The source data were downloaded from AIST‘s LandBrowser, (http://landbrowser.geogrid.org/landbrowser/index.html/). Landsat 8 data courtesy of the U.S. Geological Survey.