閣下が不用意に打たれたblog

噴火で変遷する西之島の火口や海岸線、暗礁などの海底地形等の図を衛星画像や各種資料から作成してます

火山噴火予知連の資料

拡大停止とニュースになっていますが

 

今週は未掲載ですがEO-1も3/24に撮影したようだし、海洋研究開発機構も活動した報告があり、西之島情報が沢山ありました。

そして海保が3/23、3/25と飛んで、昨年12/30以降続いていた東耳の耳当てに向かう流れに代り、火砕丘北と西への溶岩流が確認されました。

この観測から2月から3月にかけて実質面積が増加しなかったことが話題となっています。

ニュースでは噴出する溶岩量の減少も懸念されています。しかし

・3/13頃から陸上部堆積を主体とした新展開が始まったこと
・勾配20°程度の海底斜面に対して溶岩の流下が続いていたこと
自分はこの2つがこれらの理由だったと思います。

新展開の簡易判読

1つ目の新展開については新しい海保の判読図が出てきました。

西之島の火山活動の状況(3月25日観測)

でも下の図は赤外線の動画からCAPです。

f:id:gravireyossy:20150328231508j:plain

動画はこちら。ついに西海岸に溶岩が到達、1年ぶりくらいでしょうかね。

http://www.kaiho.mlit.go.jp/stream/#meta46.asx

 

コメントでも簡易に言及しましたが、活動のレートは新展開溶岩の流域が165000m2。
・うち月浦溶岩原上に厚さ10m×60000m2
・小夜浜ルートの盆地・谷に厚さ25m×105000m2
 流出量は合計322万5000m3
 流出率は13日間として一日当たり25万m3弱
よって17万m3/としていた新展開前の流出率より多く、新展開としては中程度ながら、活動は若干活発化したと見ました。

そして2つ目の海底への溶岩流出は、海底地形図の変化として認識したいところ。
海底地形図は今後期待を込めて、充実が予想されますが、この海底地形図について最近のデータを少し検証します。

 海底地形図に続きますよ。

 

海底地形図事情

まず最近海保から美しいブルーの地形図を背景に、アザゼルさんの様な最新西之島を載せた海底地形図がUPされています。よんでますよ?

海保20150223海底地形図

 

 ちなみに2010~2012に海域火山基礎情報図調査という活動があり、下はそこから来たデータと思われます。これは解像度低めの黄色い地図ですがきれいなのでUP。

f:id:gravireyossy:20150328213357j:plain

元の調査情報はこちら。

海域火山基礎情報図調査「西之島」

火山噴火予知連絡会の資料から

毎年2月、6月、10月に居開催される火山噴火予知連絡会。この2月の第131回火山噴火予知連絡会資料は興味深い内容でした。
この火山噴火予知連の資料の中からかなり詳細な海底地形図を紹介。「伊豆・小笠原諸島の活火山 その7」 P138から。

f:id:gravireyossy:20150328211631j:plain

相変わらず暗礁図を上載しておく。出典は下記のリンクです。

伊豆・小笠原諸島の活火山その7【PDF:81MB】

 

さてこれはかなり詳細なデータですね。デジタルデータらしいノイズもあるが、今まで見てきた資料の中ではピカイチだ。海保のマークが入っているしまさに最近版でしょう。
南に延びる尾根に冥王火山列の火口が水深200m付近に2つ確認できます。そして東頬の沖合には地滑りの後の様な谷筋も確認できます。
惜しむらくは頂上沿岸部のデータの欠損。諸分図をあてがって処理しているようです。

 誤解は投影と共に

さてこの画像では、またしても出典PDFから横縮尺を88.9%に縮めています。以前もこんなことがありました。しかも同じ88.9%横縮小です。正確には88.89%。なんでまたこの数値で変更するのかな・・。 

タテヨコ比が狂ったデータは普通の体型がデブに見える鏡と一緒で、喜ばれんだろう。だいたい元の図は経度と緯度が等間隔じゃんか全く、赤道直下かよっ・・・てってて赤道?

ななななんですとー??


図法が違うのだよ図法が

赤道と同じと聞いて(いや自分で言った)何か思い出した。

慌てて計算。西之島の緯度、北緯27度15分。これをCOS(θ)に入れると、
COS(27.25)=0.8890=88.9%・・・これかいな。

ありょー、この元図は正解だったのか、つまり投影法・図法が違う。

 

恐らく正距円筒図法で描かれている。だから横方向に 1÷0.889=112.5%広かったのか。

これがモルワイデ図法だったら訳わからなかったろう。

東京が中心の正距方位図法だったら暴れていただろう。

迂闊だったよ海に生きる海保だもんな。ウミンチュはメルカトルという事か~。

 上記真贋はさておき、地図にせよ写真にせよ投影というのは歪みから切り離せません。3次元の世界を2次元に収めるのですからね。

ふつーに見えるという事、分かるという事。これは実はありがたい事ですな。

海洋調査船による西之島火山の学術調査研究

~火山活動、地震、津波の観測体制を整備し、西之島周辺の地形調査、空振観測、映像撮影等を実施~

プレスリリース<海洋研究開発機構

 西之島周辺にもやっと常駐観測体制らしい形が現れました。

西之島では溶岩流の崩壊による津波の発生を検討したモデルが公開されています。
地図の中にもそのような地滑り地形が見えましたから、過去にも有った事という前提で臨むべきでしょう。
データを読む側はもっと早くに機器を設置してデータを得たかった事でしょうが、これからであっても頑張ってほしいですね。

 

 さて今回はこの辺で。

次回はこれらも参考にした等深線図の掲載を予定しています。

コメントはお気軽にどうぞ。

LandBrowserのクレジット表示 The source data were downloaded from AIST‘s LandBrowser, (http://landbrowser.geogrid.org/landbrowser/index.html/). Landsat 8 data courtesy of the U.S. Geological Survey.