H271108ランドサット8の捉えた夜の西之島
週間火山概況から
ランドサット8の前回の夜間撮影H27/10/30では、西之島の熱活動は非常に弱い状況だったわけですが、週間火山概況からも弱い噴気が報告されていました。
内容を要約すると
「西之島は10月29日に海上自衛隊が実施した上空からの観測によると、第7火口付近に弱い噴気が認められました。観測中に噴火は確認できませんでした。西之島の海岸に沿って幅約50m~200mの黄緑色の変色水が分布していました。」
というもの。
弱そうだ~これでは夜間の赤外線画像もうっすらしようというモノ。
このまま沈静化するのかと覚悟していたところで今回のH27/11/08の撮影となります。
またしてもTIRSが不調に・・
ランドサット8の搭載する熱赤外センサーのTIRSは夜間の撮影を彩る重要な存在なのですが、一度去年の12月頃に不調を起こしていました。
最近はメインではなくサブのセンサーで観測していたらしいのですが、「シーンセレクタのエンコーダー出力が異常になった」とのことで、データが得られていません。
情報は下の植月さんの投稿から。
以前TIRSの復活を祈った無茶記事はこちら。
また無茶なお願いでもしないとならないか・・。
高感度画像の紹介
さてTIRS無いので概況画像は有りませんが、好天だったらしい西之島。
前回弱々しかった火口付近は今回、十分な明るさを確認出来ました。
2015/11/8夜間ランドサット8の撮影した西之島。バンドの処理はB7高感度赤、B6高感度緑、画像の解像度は10m/px。
前回のようにB6の超高感度処理はしていませんから、普通に熱活動はあると言えそうですね。それに火砕丘の法下に熱源が丸く堆積して見えるぞ?何かな~?
溶岩流画像に続きます
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晴れても輝きは薄く
10月27は完全に雲に入って日中画像を得られなかったランドサット8ですが、10月30日の夜間は良い天気に恵まれたようです。
しかし前回10/23同様、いやさらに熱源の輝度は下がっています。B6は参照していますが超高感度で画像化しています。近赤外のB5には感がありませんでした。
概況画像
H27/10/30ランドサット8の捉えた西之島の夜間画像。バンドの処理はB10青着色、B11濃いシアン着色、B7高感度で赤、B6超高感度で緑。画像の解像度は60m/px。
西之島南西近傍の小さい雲一つのみの快晴です。これは小さいけど噴気かな。
火映の表示
熱源付近に雲や噴煙がある場合に確認できる火映を確認します。
バンド処理はネガポジでB11濃いシアン着色、ネガポジでB10青着色、B7高感度で赤、B6超高感度で緑。画像の解像度は10m/px。
火映の写るべき噴煙や雲は島の上にはないようですね。しかし熱活動が弱いなあ。
青色熱赤外画像
バンドは同じ組み合わせなのですが、去年の今時期によく作成していたB10、B11をポジで青にした画像も作ってみました。
バンドの処理はB11濃いシアン着色、B10青着色、B7高感度で赤、B6超高感度で緑。画像の解像度は10m/px。
色合いが幻想的で好きなのですが、最近はやっていなかったです。この画像では熱量が段彩されますので黒から青、マゼンタ、白に向かって高温となります。
熱源画像に続きます。
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第133回火山噴火予知連絡会資料から
年に3回開催される火山噴火予知連絡会の資料が気象庁から公開されました。
うち西之島の報告は気象研、産総研、国土地理院、海保からなされました。しかし今回も東大地震研からは報告が無かった・・TerraSAR-X衛星の画像はだいち2号とは違う仕上がりだし安定しているだけに残念。
さて興味深いというか初めて見る画像を出してきたのが、気象研こと気象庁気象研究所。 最近は海岸線の変化が少なかった分、厚みを増している活動が多かったわけですが、高低差変化の解析結果が提供されています。
干渉波の原理は正直よく分らないのですが、パッと見に分かり易いのが下に挙げる相関画像だと思います。
8/7~9/4の相関画像
9/4~10/2の相関画像
色合いからついついエレキングを思い出しますが、ほぼ関係ありません。
この画像、直感的に「青いところは変化有り」なのでしょうが、横軸の「Good」と「Bad」という概念が分らない。どう捉えたらよいのか。
「いいね!」と「悪いね!」なのか?「善」と「悪」なのか。
いやどっちも違うと思っているんだけど、まさかね。
資料は下記から
その5の3(草津白根山、浅間山、御嶽山、西之島)【PDF:40.0MB】
第124回海洋フォーラムの講演要旨
先だって2015.9.11に自分も行ってきた、海洋フォーラムの配布資料と講演要旨がUPされました。
笹川平和財団海洋政策研究所|第124回「噴火を続ける太平洋上の西之島」
品質が良いPDFで配布資料も公開されましたので、講演要旨を眺めつつご覧になってください。
上の記事の画像も更新するかな。
H27/10/23夜間撮影の西之島
予定通り、通りすがりのランドサットに捉えたれた夜間の西之島。
概況画像のバンドの処理はB11青着色、B7高感度で赤、B6高感度で緑。画像の解像度は60m/px。
多少切れ間がありますが、雲がかかっている状況の様です。
火映の表示に続きます。
続きを読む西之島の海底地形図の予知情報報告(その3)
電子顕微鏡で見る西之島の海底地形
枝を伸ばす神経細胞を彷彿させると言われた西之島。自分もゼニゴケに似ていると言ったりしていますが、生き生きと成長するローブを見れば生命力にふさわしい何かを連想するのは自然な事ではないでしょうか。
その生命を細部まで見ようとすれば電子顕微鏡でしょう。?
電子顕微鏡の画像というのは、やたら小さいモノの凸凹やシワシワがこれでもかと表現される。ご存じ微細のモノを逃さず明瞭にするあの感じで、光学的に見えないモノなんかもばっちり確認できるわけです。
というわけでなぜか『神は細部に宿る』、今回紹介するのは電子顕微鏡で見た西之島!・・
・・の様な画像です。
しかしこの立体感ある迫力。さすがだ電子顕微鏡! の様なカラー画像!
元図の海保の海底地形調査結果から、等深線を引き出したいと思って色々していたわけですが、偶然この画像を得ました。この処理はGIMPの「フィルター」から「輪郭抽出」の「輪郭」です。当然の処理だったのかもしれんが、GIMPは奥が深くて以下略。
水深の抽出とウイルスの排除
さて重要なのは水深200mまでがきれいに色分けされ、間隔もちょうど50m毎の4分割となった事です。これを利用しない手は無い。早速水深50,100,150mを主体に等深線を更新した次第。
今回当該資料は例によってタテヨコ比が横広な形状なので画像は変形させた。西岬暗礁や小夜浜暗礁が図中に確認できるため、これと経緯線を位置合わせに利用し、水深の表記文字が小笠原諸島諸分図に対して大ずれしない配置にして位置合わせした。
ここで電子顕微鏡画像図の中央部には新しい西之島の位置は、悪意あるセキュリティーのウイルスが脆弱性のため割愛。ここも電子顕微鏡、空気を読んだ大人の事情でウイルスの隔離は万全である。
※記事中の電子顕微鏡はフィクションです。実在の電子顕微鏡とは関係ありません。
元の図は海保のスライドショー動画に出てくる暫定調査結果で、こちらで紹介しています。
6月24-7月7日動画 約7分11秒【約119MB】西之島の活動(スライドショー)
正式な一般向け海底地形資料は10月21日の火山噴火予知連絡会かな。データの公開もありますから、そろそろという事ですが暫定結果からこれで行きますよと。
等深線の抽出と位置関係
そのようなわけで抽出した等深線を、当方が描いてきた各時期の海岸線に載せ白地図状にしました。
今回電子顕微鏡図から主に変更した等深線は海岸線と同じ色になっています。また水深50m線は読めなかったので、途中途切れていますよ。
海岸線は自分の今までの活動記録から、H27の6月中までの主な描画レイヤを抜粋して表示していますが、線色が色々だし混雑も激しいです。整理するか。
溶岩流が活動して一度陸地になった部分の下には、支える海底基部が残っていると思うので参考に表示しています。
というわけで海底地形予知活動としては順風満帆、海保の本評価を待つばかりです。
続きます。
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